第34話 海外、覚えていますか?

 覚えていますか? 目と目が——。

 おおっと危ない危ない、JASRAC、JASRAC。


 おれごん作品がいつも外国と関わりがあったのを覚えていますか、という問いかけでした。


 処女作はアメリカ、ドイツ、エチオピア、アイルランド、チリ(イースター島)。

 第2作は南極以外の大陸を制覇。むしろ逆を突いて北極に行きました。戦艦大和でね。

 第3作は全編アメリカで、日本はかけらも出てきませんでした。


 第4作は日本が舞台、しかし途中から海外遠征です。キャプ翼です。ジュニアユース編(みたいなもの)です。


 一貫して外に出たいんですねえ私は。とんだ海外野郎Aチームです。

 一度出たからわかる日本人の島国根性。それは良くも悪くも。伝統や文化はすばらしいですが国際感覚も必要です。小説もそうだと感じるのは違うでしょうか。


 なろう小説は肌感覚の近い中国や韓国では読まれているそうですが欧米では苦戦しているみたいですね。向こうはロボやニンジャ、サムラーイが好みです。

 日本以外ではアバターが映画興行収入週間1位だそうですから。日本市場は本当に特異な地域だと思います。逆に言えば、日本の作品は海外で通用しにくい現れです。

 国内の需要は最大でも1億ちょっと。極東の市場は中国を入れた上で多く見積もっても20億人行きません。一方で世界全体では80億人です。差し引いて60億人、どちらが顧客が多いと思いますか?


 それを見誤ったのがお家芸の家庭用電化製品でした。日本人の好みに合わせて性能を究極に突き詰めていった日本の家電が、それに伴い日本の家電メーカーが現在どうなっているかはみなさんご存知でしょう。


 映画バックトゥザフューチャーで「日本の製品は最高だ」と冗談混じりに使われていたのは、劇中1955年では安かろう悪かろう、1985年では安くて高性能、その未来にあたる現在では高くて無駄機能満載。劇中のように日本製品が最高だと認識されていたのは、実は非常に短い期間だったのですね。

 彼らは、かつて世界を席巻した日本の家電をもはや認識していませんよ。シャープもPanasonicも東芝も知りません。ソニーはPS5の会社。店に並ぶのは地場であるGEや、競争を勝ったSamsungとLGだけです。


「どぅーゆーのー、シャープ?」

「のう」


 かつて液晶で世界一だった会社も、その栄光が20年前ともなれば無名に返ります。シャープ製の液晶はコストコには並んでいません。


 価格、販路、サポート。これらが合致し継続して売れているのは今や自動車くらいのものです。日本のアニメ・マンガもいずれ。それを浴びて育った世代が模倣して、他国で自作の発表を始めるのはほんの少し先。


 アニメもマンガも、パソコンが発達したので技術的なハードルは消えつつあります。今なら資本と脚本さえあれば作れるのではないでしょうか。あれは国内ですがお文具さんなんていい例ですよね。

 今のままを続けると、それらは本当に家電と同じ轍を踏むことになりそうです。


「日本語だから小説だけはガラパゴス化して残る」


 本当ですか?

 欧米の、なんなら南米やアフリカ発の翻訳された作品の台頭が未来永劫起こらないなんて誰が断言できます?

 猫も杓子もハリーポッターだったじゃないですか。あれがこれから幾度でも起きますよ。


 私たちは私たちの売りである日本らしさ、あるいは逆に世界で受け入れられる表現の両方を突き詰めていく必要があると思います。ナーロッパは通じないと、すでに答え合わせは終わっています。

 もっと表にでましょう、ニッポン!

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