【完結】『実は有能でした⭐︎』とチャラ男が言うもんだから部屋を訪ねてみたら俺のエルフ彼女の椅子になっていた

悠/陽波ゆうい

やめて……ください……

「うーん……」


 Aランクパーティーのリーダー、クルトは1枚の紙を眺め難しい顔をしていた。


【今夜、俺の部屋に来い。実は有能だった俺とお前の格差を教えてやるよ】


(なんだこの手紙は………)


 差し出し人は、同じパーティーメンバーのリューク。金髪に焼けた肌。見た目からいえばチャラ男。


『はっ、俺にかかれば楽勝なんだよっ』


 生意気な口調で人を見下ろす癖がある。


 クルトはもう一度手紙を眺め、昼間のことを思い出す。


 今日はダンジョンに潜った。


『あひっ!? ごめんなさいごめんなさい!!』


 1階に出てくる魔物は、比較的低ランクの魔物でサクサク進んで当然なのだが、リュークはゴブリンにボコボコにされていた。


『リュークお前魔法使いなんだろ! なら、魔法で魔物を倒せ!』

『あ、あ、燃えろ! 死ね! 死ね!』

『って、味方に撃ってどうするんだよ!?』


 涙と鼻水でべちゃべちゃの顔面。無鉄砲な魔法。見ての通り、パーティーの足を引っ張っている。

 結局、リュークはいつも通り守られているだけであった。


 普段のあの戦いぶりからは、実は有能だったとは想像できない。


「まあ、部屋に来いっていうだけだし、付き合ってやるか」






 クルトはリュークの部屋に訪れた。ノックしよとしたが、


「……ろ…………っ」

「……ょ」


 中から微かに声が……2聞こえてきため、手を止める。


 1つ部屋の主のリュークのもの。もう1人は……


「この声は……リネア?」


リネアとは、クルトが交際しているエルフ族の美女だ。クルトとリネアは周りも認めるバカップル。


(もしかしてリュークのやつ、リネアに手を出して………いや、でもゴブリンさえまともに倒せないやつがなぁ……)


 クルトは疑問を抱きながらも扉を開いた。


「……え?」


 部屋に入った瞬間、意味が分からないとばかりに間抜けな声が口から漏れた。


 広がる光景は——


「ああっ! それダメっ!」

「どうして? ここが好きでしょ」

「んひっ!? おしり、叩かないでッ! んあっ!?」


 四つん這いになり、お尻を丸出しにしたリュークの上にリネア乗って、鞭でお尻を叩いている。

 リュークの尻は何回も叩かれたのか、痛々しいほどに真っ赤になっていた。 

 

「……本当に何してるんだ?」


 変なプレイに目覚めた……?


「見ての通りよ、クルト」

「なんだ、俺の目がおかしいんじゃないのか……」

 

 手で目を押さえているクルトに、リネアは抱きついた。


「ねぇ、ちゅーして」

「今!? いや、今はちょっとそういう気には……んむ!?」

「んー……」


 リネアはクルトの首に手を回してキスをし始めた。ただ唇を啄むキスではもはや物足りず、リネアは舌を差し出す。く

 クルトもすぐに受け入れた。 

 軽く吸ってみると吸い返されたり、舌先でじゃれあってみたり、深く、お互いの唾液を絡めるエロいキスをしたり……。

 

「お、おい……なに俺の前でキスしてるんだよ……人前でイチャイチャしてるんじゃねーよ!!」


 リュークの目の前で繰り広げるカップのイチャイチャ。


 ベロチューをするカップと、ケツを丸出しにして見上げる男。絵面は最悪だ。


「んぁっ……もぉと深く……ちゅ……」

「ん……」

「ふざけるな……本当ならクルトの立場は俺のはずで……。何故だ……何故だァ、何故ァァァァ!! この媚薬はどんな女でも一滴飲ませれば落ちるというのにッ!!」

 

 リュークは悔しそうに歯を歯軋りさせながら叫ぶ。


「ぷぁ……あー、さっきから甘い匂いか部屋中に漂っていると思えばそういうこと……」

「んん……クルトなんで口離したの」

「いや、離さないと喋れないじゃん」

「喋れるじゃない。舌を絡めながら私の漏れる声でいつも勃———」

「はーい、ストップストップ! これ以上は埒が開かないから!」


 頭を撫でてなんとかリネアを落ち着かせる。


「んで、リューク。なんか言いたいことあるかー」

「チッ……こ、答えろリネア! 何故媚薬が効かない!!」


 リュークが怪しい商人から大金を出して買った媚薬。効果は絶大で本当に一滴飲めば、どんな女でも魅力状態になり、落とせる代物。

 そんな媚薬を部屋中に撒いた。部屋に入ればあっという間に効果が現れるはず……。 

 たが、何故かリネアには全く効かないようで。


「はぁ? 私の愛が薬なんかに負けるわけないでしょ。うふふ、うふふふ」

「そんなっ………」

「リネア、しれっと股間に手を添わせないで。それにしてもあの手紙……もしかしてリネアを寝取ろうとしていたって意味?」

「ああそうだよ! 本来なら今頃惚れ薬が効いて、リネアの肉体を好き勝手していたのは俺だったんだよッ」

「いや、間違った行為をそんなキレられて言われても。しっかし、リネアを寝取るか……はぁ〜〜〜」


 クルトが重いため息を漏らす。

 リュークはビビった様子で、


「な、なんだよ……っ」

「ゴブリンさえまともに倒せないお前が、うちの彼女を寝取れるわけがないだろう……」

「ッ!」

「ふ、その通りよ。あ、クルト。コイツ、この惚れ薬にドラゴン退治の報酬金全部使ったらしいわよ」

「マジか!?」


 練習でお金の管理もさせようと任せたドラゴン退治の報酬。別荘を2つほど買える大金をこんな小瓶に……。


「つか、その惚れ薬自体騙されて買ったじゃないのか? たくっ……。今までは目を瞑っていたが、お前はうちの金で散々女遊びもしているらしいな」

「っ……いいだろ別に! パーティーの金は俺の金でもあるだからよぉ!」

「いや、お前活躍してないじゃん。口ばかりで成長しないやつに大金を使う権利なんてない。はぁ……これも甘やかしていたリーダーである俺の責任だな」

「ねぇ、クルト。リュークはもう追放しましょうよ」

「っ!?」


 追放という言葉にリュークの顔が強張る。


「だってうちには4人もメンバーがいるんだし。というか、あの2人付き合い始めたらしいわよ」

「ようやくか! 幼馴染で両想い同士、早くくっつけと思っていたが……明日は赤飯だな!」

「……お、おいさっきから間に話を挟むなよ……ッ!」

「ねぇクルト……あの2人今ヤッている気がするの……だから私たちも……」

「はいはい。後からたくさんヤるとして」

「いやん♪」

「しかし、リュークを追放したら他のところで人様に迷惑かけるかもしれないし、死なれても困るし……うーん」


 過酷でいつでも死と隣り合わせの冒険者稼業。リュークの実力ならパーティーを組んでくれる人は愚か、ソロで活動するのも厳しいだろう。厳しいというか、死ぬ。


 悩むクルトだが、ポツリと呟いた。


「……教育するとか?」

「え……」

「教育?」

「ああ、一人前になるまで教育する。そりゃもう厳しく」


 リュークは思わぬ提案にポカーンとした表情。


「嫌よ、なんでこいつにはわざわざ……」

「教育って言ってもまずは根本的なところだな。人をすぐ見下す性格とか、女遊びが激しすぎるとか……段階を踏んで強くしてあげないとダメよ、リュークは」

「なんか小さな子供を育てるみたいな感じね」

「お、おい! 勝手なこと言ってるんじゃねーぞ! 誰がお前らなんかにっ!」

「ほら、こういう生意気な口調とかね」

「……教育。ねぇ、それってでも結果が出ればいい?」

「え? まぁ1人でBランクの魔物を倒せるくらいになるだった……うん、どんな方法でもいいかな。何かいい方法でもあるのか?」


 クルトの返事を聞き、リネアは笑みを浮かべる。それはいかにと悪いことを考えているような。


「ええ……それはいい方があるわ……。私ちょうどいじめらる椅子が欲しかったのよねぇ」

「いや、リネア? あくまで強くなるための教育だからね……? あ、これは聞こえてないわ」

「まずは二度と寝取るなんてくだらないことを考えないように、"教育"しましょうか……」


 と言うリネアの手に握られていたのはプラスチックできた見た目が男の下についているアレに似ているブツ。

 

 リュークの丸出しのままの尻の穴がキュッと引き締まった。

 

「や、やめて……ください……それだけは、本当に……ああああぁぁぁぁーーーー!!」

「あーあー……てかこれは俺にも少しダメージがあるんだが……なんかおしり痛い……」

  

 これは、無能チャラ男がどこでもイチャイチャする最強の恋人に教育されて、"無欲の万能魔法士"と呼ばれるまでの物語。










 






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【完結】『実は有能でした⭐︎』とチャラ男が言うもんだから部屋を訪ねてみたら俺のエルフ彼女の椅子になっていた 悠/陽波ゆうい @yuberu123

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