第7話 蝉氷

いつもより暖かいのか、桶に薄い氷が張っていた。

突くとすぐに割れてしまう。

家の前を通る彼に挨拶をすると、いつものように会釈だけしていった。

警戒心が強いのか誰に対してもそんな対応だけれど、私には頬を染め照れた様子を見せる。

蝉氷のような彼の壁は、私が突けばすぐ割れるような気がするのだ。

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