第12話 2人が好きなのは
部活が終わると、雨が振り始めていた。雨が降ってきたために、サッカー部も終わりになったようだ。
「優也?颯?2人とも事情聴取じゃぁ!」
私は2人に背後から奇襲をかけた。
「なんだよ、事情聴取って」
颯がやれやれという身振りをしながらそう言った。
「2人ってさ…好きな人いるの??」
2人は呆れて顔を見合わせた。
「事情聴取って、ただの恋バナかよ」
優也が面倒くさそうにそう言った。
「優也にいるのはわかってたのよ、うん」
「いや、いねぇしー!」
優也の反応はわかり易すぎる。
「え、颯ってさ、好きな人いるの…?」
「いや流石にいるだろ」
優也と反対に、どストレート過ぎて驚く。
「てっきり部活のことしか頭にないのかと」
「俺を何だと思ってるの?高3男子だよ?」
そんなに自信満々に言われると、それはそれで困る。そして、本題。
「じゃあさ、好きな人、誰?」
…………
しばらく沈黙が続いた。優也と颯が互いに、空気を探り合っているような、そんな沈黙だった。そんな空気の中、先に口を開いたのは優也だった。
「俺は、、菜緒、だよ」
優也がそう言うと颯もすかさず、
「俺も菜緒、」
と言った。
「え、え?えぇぇぇぇぇ?!」
私は2人を見ると、2人は力強く頷いた。
「ちょ、ちょ、頭の中整理させて、と、とりあえず、今日は、じゃ、じゃあねーー」
私は慌てたあまり、2人を置いて駆け出した。まるでこれから波乱の展開になると予言するかのように、雨が傘を強く叩いた。
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