君がいた夏

白藤しずく

Episode1〜永遠のライバル〜

第1話 幼なじみの優也


5月17日…テストまであと…1、2、3、4、5、6、7!?

開いた口が塞がらない。まるで時が止まったかのように私はカレンダーを凝視した。私の予定では、テスト1週間前にはやるべきことを終わらせて、残りの1週間でテキスト2周目に突入。完璧な状態でテストを迎えるはずだった。しかし現実はそう甘くはない。

大量に残ったプリント。

わからないままテキトーにやったワーク。

授業以外一切手を付けていないテキスト。

自分の机の上を眺めてうんざりした。いつも「次回こそは」と言っているものの、自分の計画通りに進んだ覚えはない。

あぁ今回もまた酷いテストが帰ってくるのか…


いや、まだ1週間ある!出来ないなら出来ないなりに悪あがきをしてもいいじゃないか!!

世紀の大発見でもしたかのような素振りで私はスマホを開いた。

『今日の午後、時間空いてる〜?』

メールの相手は優也。そう、田崎優也である。私の超頼れる友達。特にテスト前は。

優也は幼稚園の頃からの仲良しでいつもいつもお世話になっている。もちろん、高校受験のときも。優也はテストを受ければいつも5位以上に入る成績優秀者。テスト前、彼に頼らずして誰に頼る。

『空いてるけど、どした?』

『頼む!!勉強を教えてくれ!!』

目をキラキラさせたスタンプでも送ってみる。

『どうせそういうことだろうと思ったよw全然いいよ』

「カモン」と書かれたスタンプが送られてくる。このスタンプが送られてきた時は、要するに"俺の家集合"ということだ。

優也の両親は、それはそれはものすごい経歴の持ち主で、仕事が忙しいらしく、平日どころか土日すらほとんど家にいないらしい。昔から優也の家にお邪魔する私でさえ、優也のご両親にはあったことがない。かなり謎めいた存在であることは確かだった。だから優也は実質「一人暮らし」状態。いつでも家に友達を呼べてしまうんだとか。

『じゃ、2時頃そっち行きまーす』

『はーい』

私は寝癖も、机から雪崩れるプリントも気にせず家を飛び出した。

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