第1話 Visit

チュンチュン チュンチュン

「もう、朝か」

小鳥の鳴き声が聞こえてくる。

またあの夢だ、3年前からこの夢を見るようになった。だが、それが誰かは分からない、でもその人はとても大切な人、そう頭に訴えてくる。

そんなことを思いながら一階のリビングに向かう、

「おはよ〜兄貴!」と言いながら抱きついてくるのは妹の明理(めいり)だ、毎日こんなことをしてくる。

「邪魔だ、離れろ」そう言って明理を剥がす、

「えぇ〜、いいじゃん、朝くらい」また抱きついてこようとする。

なので「離れないと、兄やめるからな」、そうすると

「いやだよ、兄貴やめないでよぉ〜」

「じゃあ離れろ」

「ぷぅーしょうがないなぁ」やっと離れてくれた、疲れる妹だ。

「あぁそうだ今日ご飯は抜きにしといてくれ」

明理に言った、言い忘れていたが俺は妹と2人で暮らしている。両親が事故で他界したのが原因からだ、だから今は、2人暮らしには勿体ないくらいの広さの家に住んでいる。

「え?今日はご飯いらないの?いると思ってたけど」

「今日は和哉の家に行くことになってな」

和哉は小学生の頃に出会ってからほぼ遊んでいる仲の親友だ。

「なんかいつも使ってるPCの調子が悪いらしくて、それ直しに行くついでにご飯奢ってもらうことになったから、毎日ごめんな」

明理には、毎日ご飯を作ってもらっている、それだけでも大変なのに家事もやってくれる、だけど文句一つ言わない優しい妹だ(急に抱きついてくる所はどうかと思うがな)。

「それじゃ行ってくる。多分遅くなるから先に寝といてくれ」

そう言いながらドアを開けた。

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