イメトレ、うまくいった試しがない
kayako
だから私は夢を信じない
イメージトレーニング。とてもよく聞く言葉である。
ちょっとコトバンクをみると、意味は
・スポーツで実際に身体を動かすことなく、頭の中で動作を考え、正しい動作を学習すること
・特定の事柄について、起こりうる場面や対処方法などを頭の中で考え、慣れておくこと
とあるが、実際には何となく
「これから起こる事柄(試験や試合や仕事など)について、良い結果を頭の中でイメージして、その通りになるように色々頑張る」
といったような意味合いで使われることが多い気がする。
要は「結果が良くなるよう、事前にいいことを考えておく」ということなのだが
私の場合、この手のイメトレがうまくいった試しが全くといっていいほどない。
それどころか、「こうなってほしいな」とちょっとイメージしただけで、物事がその真逆の、悪い方悪い方へ転がっていってしまう。
例えば
「今日宿題忘れちゃった……
でも、先生に正直に言えば、『よくぞ正直に話してくれた!』って、逆に褒めてくれるかも!?」
⇒当然雷落とされる。
ワシントンの桜の木の逸話なんぞ所詮伝説と思い知らされる。
「2学期の成績が良ければ、お父さんがリ〇ちゃんハウス買ってくれるって! 頑張ろう!!」
⇒教師に目をつけられ虐められまくり、しまいには登校拒否起こした。当然成績も最悪。
(でも何とかリ〇ちゃんハウスは買ってもらえたのが救い)
「今度の数学のテスト、思いがけず意外と簡単だったらいいなぁ♪ トップとって、あのカッコイイ先生に褒められちゃったりしてー♪」
⇒ありえないほど難しい問題出されてパニック起こして保健室に駆け込んだ
「あのカッコイイ子、私にだけ態度悪いけど、本当は私のこと……?」
⇒マジで本当に私が嫌いなだけでした
「あの人、私にすごく優しいけど、もしかして私のこと……?」
⇒全員に優しい人なだけでした
「今まで何やっても駄目だったけど、ひょっとしてこの仕事だと一目置かれたりするんじゃ?」
⇒結局何やっても駄目
「今まで何やっても駄目だったけど、なろうに投稿すればもしかしたらいきなりトップ取れたりするんじゃ!?」⇒以下略。
しかもこの現象、自分のみならず推しにまで波及するからとても困る。
「今年は最多勝だけは逃したけど、来年は最優秀防御率と最多勝と最高勝率、全部とれるといいね!!」
⇒翌年不調のどん底に
「ずっと好きだったシリーズ。頭身上がって、キャラが軒並みカッコよくなった新作登場! じゃあ、元々カッコ良かった私の推しもさらにメッチャカッコよくなって出てくる!?」
⇒なんか微妙だった上に何故か洗脳させられて顔面超絶醜悪化、最終的に味方に殺害される
「今まで情けないシーンばかり目立っていたけど、本当は芯が強くて優しいキャラだし、終盤にかけて絶対見せ場あるはず! 攫われてた彼女との再会が楽しみだなぁ♪」
⇒最後まで見せ場どころかろくに台詞もなく出番終了。ちなみにその彼女は他の男とイチャイチャした挙句、推しと再会することなく壮絶爆死
「ノベライズでは滅茶苦茶カッコ良かった推しの血みどろアクションシーン、ドラマだったらもっともっとカッコイイだろうなぁ♪」
⇒ドラマではアクションシーン丸ごとカット、語りだけで終了
「原作ではあまり出番なかったけど、ソシャゲでは隠れた一面もクローズアップされるといいな♪ 意外とスタッフ人気高くて、思いがけず強いレアで来ちゃったりして♪♪」
⇒5年以上実装すらされず
このように、私のイメトレは全くうまくいかない。呪いかと思うレベルに。
だから大事な試験や仕事の直前などは、「良い結果」を出来るだけイメージ「しないように」している。
この「呪い」、何とかしようと試みたこともある。
1週間の間に1つでもミスをすれば部署を追い出される、ヘタすればクビになる。そんな状況まで追いつめられた時のことだ。
自分の無能と粗忽さを何とかしようと、本気でイメージトレーニングをやろうと思った。
そこで色々調べてみると、イメトレがうまくいかない原因は、具体的な「成功」のイメージが出来ないからだとあった。
「成功したい」という願望はあっても、そこに至る自分が思い描けないからではないかと。
確かに冷静に考えれば、自分の才能を過信したり、そこに至る為の方法が分からなければ、イメトレがうまくいくはずがないのは当たり前。
前述した例はイメトレというか願望、妄想でしかなかったのかも知れない。
ならば今度こそ、ちゃんと夢を実現できるように!
願いを現実にする為に!!
頭の中ではっきりと「イメージ」を「トレーニング」しなければ!!
……そう考えて、1週間決してミスをしない、具体的な仕事での成功イメージを何度も思い描いた。
自分のちゃちなアタマを改造する為、ネットでワーキングメモリ増強の訓練もした。
間違えやすい部分は付箋でパソコン横に貼りつけ、チェックにつぐチェック。
少しでも迷った部分は自分の過去メモとマニュアルを参照し、それでも分からなければ周囲に聞く。
無糖コーヒーと飴は常備。
さらに、ミスが続いてパニクった時のために、アロマオイルを用意。
これで……1週間後、きっと、上司からも先輩からも「やっと出来ましたね!」とOKが出るはず!!
そう強く心に思い描いていた、のだが。
現実は非情である。
最初の2~3日はほぼ何事もなく過ごせたものの、徐々にミスの指摘を受けるようになり。
最終日たる金曜日は、ほぼ全ての案件をミスってしまった。しかも修正した部分さえまた間違えるという始末。
何でそんなにミスするのかって? そもそも1件あたり軽く30~40か所はチェックすべき箇所があってしかも巧妙に色々隠されてる可能性があってさらに定時までに一定件数をこなさないといけなくて
……って、今それを愚痴ったところで仕方がない。
要するに、これほど努力してイメトレをやっても、結果は最悪に終わったということだ。
しかもあまりにストレスがかかったのか、帯状疱疹まで発症してしまった。
関係ないけど、多分この経験はいずれ自作品にも反映されると思います。
これに懲りて、私はもう当分イメトレなるものはしないと決めた。
少なくとも、根拠なく迂闊に都合のいい妄想はしないようにしようと。高望み厳禁。
しかし人間というものは、どうしても「良い結果」を思い描いてしまうもの。
例えそれが、実現不可能な妄想に近いものであろうとも。
今も私は、自分に見合わぬ妄想を抱いてはそのたびに落ち込む。
もしかしたら、いきなりコンテストで賞を取れるんじゃないか。
もしかしたら今度の連載は、いきなり4桁ポイント取れるんじゃないか。
そして全部撃沈して落ち込んでは、また別の作品で同じ妄想をしてしまう。
妄想を実現する為に、具体的な道筋を描ければもうちょっとマシになるのかも知れないけど、前述の経験が怖くてなかなか出来ないのが現状。
妄想内容を詳細にイメージしようとすればするほど、現実は真逆の方向に行くの、ホント何なんだろうと昔から思ってます。
だからといって、逆に結果が悪くなるような想像をすると、それが現実化しまうことも結構あったり。
「こんなことになるはずないけど、なれば嬉しいよね♪」は絶対に実現せずそれどころか悪い方へ転がり落ちるのに、
「こんな最悪なこと、まさか起こるはずないよね♪」は何故か現実になる。
自分だけならまだいいけど、周囲や推しにまで波及しないでほしい。この呪い。
イメトレ、うまくいった試しがない kayako @kayako001
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