たべもの日記 京都宇治 抹茶のチョコレート

のこもこ

京都 宇治のお茶屋さん

 今って、抹茶のお菓子は美味しいものがたくさんあるし、自分でも色々探せるけど…。


 昔も今も好きなのは、京都のお茶屋さんの生チョコ。


 母が大昔にどこかの百貨店で見つけて、気がついた時には「我が家のバレンタインデー」の定番チョコレートになっていた。



「京都のお店だから、都内ではバレンタインの時期にしか買えない。」

 と言うところも母のお気に入りポイント。



 基本的には「抹茶味」だけだが、京都に旅行に行くと「ほうじ茶味」も買ってきてくれたりする。

 どちらも美味しいけれど、やっぱり我が家は「抹茶」味が好きだ。


 とにかく二月になると小さな白い箱が冷蔵庫に入ってる。


 母が父に贈るまでは誰も触らない。


 待ちに待ったバレンタイン当日。

 父は「おおっ。ありがとうありがとう。嬉しいね。」と一粒食べる。


 一粒食べると、「あとはみんなでどうぞ。」とくれるので、本来贈る側の私も一緒になって家族で食べた。


 いつ頃からか、バレンタインフェア中の百貨店でも見かけなくなり、通販で買うしかなくなって…。



「千円のチョコレートに千円の送料を払うのは嫌だわ。」


 母は、そう言ってある時から買ってくれなくなってしまった。


 疎い我が家は知らなかった。


 銀座にもお店が出来ていたことに…。


「おおっ。これでまた毎年食べられる…。」


「銀座に行けば買えるなら、好きなときに買って食べればいいじゃない。あのお店、この間、パパとお茶してきたわ。京都も混んでたけど、銀座はもっと混んでたわ~。」


 ――ああ、そうなるのか…。


「チョコは売ってた?」


「わからないけど売ってるんじゃない?」


 ――銀座に行って、チョコを買ってまっすぐ帰ってこられる時には買ってこよう。


 そう思いながら、まだ一度も行っていない。


 一度手放したことで、母は「バレンタインに父にチョコを贈る。」ということをやめてしまい、今では二人で食事に行く。


 今では毎年のバレンタインに私がオンラインショップで購入することが定番化してしまった。


 ある年、「どうせ高い送料を払うなら」と欲張ってチョコ以外にも、「抹茶ゼリー」だの「茶だんご」だの「ほうじ茶アイスクリーム」だのと一度に色々買ったら、「冷蔵庫も冷凍庫もパンパンじゃない。早く誰か食べちゃってよ。」と全然有り難くないもののように扱われてしまった。


 それからは一箱千円ちょっとのチョコレートに千円ちょっとの送料(クール便)で手を打つか、何箱か購入して友人に配ることにしている。


 でも、冷蔵品だから配るのもなかなか難しい…。


 ああ、我が家におけるこのチョコの黄金期は、母が買っていた頃に間違いない。


 父はもともと一粒か二粒しか食べないし、母も「美味しいわよね。」と言いながら昔ほどは食べないし、「銀座に行けばいつでも買える。」と言う思いから、なんとなく我が家では格下げとなってしまった。


 ものの価値って難しい。

 銀座に行けば確かに買えるけど、せっかく銀座店に行ったのなら、カフェメニューが食べたくなると思う。

 パフェとか、抹茶ゼリーとか…。



 だから、もう商品と同等の送料は仕方ない。

 一箱を大事に、家族で食べるのがいい。


 口にすればやっぱり美味しいし、我が家にはこれがあってる。


 大人になるってちょっぴり切ない…。


 そんな思い出も加わって…、私にとってこの抹茶のチョコは、目新しさも希少価値も無くなったが、それでもきっとお気に入りのままだ。







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たべもの日記 京都宇治 抹茶のチョコレート のこもこ @ajisai616

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