少子化惑星で無双す……る?

真義える

第1話 これもお仕事

「ぐへへへ。お前を女にしてやるぜぇ」


 目の前には、背丈が人間の倍はある、デカくてイカつい緑色した奴が迫っている。

 引きちぎられて面積が乏しくなった服に気にする余裕はなく、恐ろしさのあまり涙目になりながら後ずさっていくと、無慈悲にも背中が壁にぶつかった。

 片手で顔を一握りに潰せそうなくらいデカい手が迫り、着丈が半分以下になってしまった俺のズボンを無理やり脱がせにかかる。


「や、やめろぉおおおおお!!!!」


 必死の抵抗もあって、ズボンは脱げはしなかったものの、不幸なことにパンツごと布が縦に裂け、大事な部分が白日のもとに晒されてしまった。

 オークは俺の下半身を物珍しげにまじまじと観察すると。


「変わった形だな。見たことないぞ。それに小さくて可愛いな」

「おいコラ、小さくねぇから! 普通だから!!」


 余計な一言に思わず言い返してしまったが、ジロリと睨まれて、縮こまっていむ俺の分身がさらにコンパクトになった。


「お願いします、勘弁してください! なんでもするから! 一生のお願いだからぁあああ!!」


 泣きながら懇願する俺に、緑の奴は悪役みたいな優越感に満ちた笑みを浮かべた。


「なんでも? だったら、今すぐ俺の女になってもらおうか」

「ひぃいいいい!!!!」


 ゴツゴツした岩みたいな手が俺の分身に迫る。


「い、嫌だ……!!」


 そしてやさしく包み込んだ。


「やめて……やめてください……!!」


 俺は男としての死を覚悟し、この日初めて神に祈った。

 男という性を与えておいて、使うことなく一生を終わらせるなんて……。


__そんなことになったら神だろうが悪魔だろうが絶対に許さねぇ!!!!!!


 小さな俺を握った緑の手は、まるで大根の収穫でもするかのように、俺の息子をあらぬ方向へ引っ張った。

 それはもう、思いっきり。


「ぎぃやぁああああああああああああ!!!!!!!」


 地獄だ。

 地を引き裂くような断末魔の叫びをあげながら思った。


 俺は一体なにをやっているんだろう。

 本当なら今頃、家の中で暖かい布団で眠っているはずなのに。


 ごく普通の学生の俺が、どうしてこんな地獄のような惑星に来てしまったのか。

 その経緯を、今から話そうと思う。

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