しかし鴨川は続く。
「……………………あ〜、なるほど。ショックサイトの最大チャージか」
「にゃっ!」
空飛ぶサメって言うB級パニックホラーみたいな敵を一撃で殺してみせたフリルを見て、俺はフリルが元々持ってた異能を思い出した。
「……そうか。ショックサイトはチャージするほど、射程が短いほど強いんだから、最大チャージをゼロ距離で叩き込めばこんなに強いのか」
フリルがショックサイトを使う時はいつも、そこそこの距離がある相手に使ってた。多分、ゼロ距離でぶっ
「にゃぅんっ♪︎」
どう、凄いでしょ。そう言うようにお座りしながら胸を張るフリルが最高にカッコイイし、最高にカワイイ。やっぱ我らが最強はフリルだよ。
全長3メートルもの巨体が殺す気で突っ込んで来たのを利用して、その速度エネルギーさえショックサイトの威力に変えたんだな。
ショックサイトは衝撃を飛ばす異能で、近ければ近い程強い。あの速度で突っ込んだサメは、さながらマグナム弾を撃ち込んだ水面のような感じだっただろう。
と言うか、あの速度で突っ込むサメが『目の前で止まる』程の威力があるのか。今のショックサイトは。流石レア異能。
ショックサイトは多分、本当に金魔石なんだろうな。この威力は十中八九そうだろ。むしろこれでアンコモンだったら今から探して回るわ。
「……………………ひぇっ」
「おう、どうだよタクマ。これがうちの最強よ?」
「ほ、本当にフリルさんの方が、強かったんですね……?」
「え、なに? 信じてなかったの?」
「にゃぁ?」
フリルの一撃必殺を目撃したタクマがビビり散らしてる。まぁ、凄い迫力だったからな。サメの顔面がグッチャグチャだし
「さて、フリルのお陰でレア魔石持ちを倒せたし、さっさと魔石抜いて戻ろうぜ」
手に持った蛮刀で早速解体を始める。解体っていうか、腹を開けて心臓を確認するだけだが。ここに無ければ脳味噌を、それでも無かったらヒレとか尾を切り刻んで探す。
「…………お、あったぜ」
幸い、最初から心臓に魔石がある個体だったらしく、すぐに魔石を見付ける事が出来た。
魔石その物は小さいけど、ある場所が分かってるなら楽に探せる。
「おい、タクマ見ろよこれ! 金! しかもスゲェ量の異能が詰まってやがる!」
取り出した魔石は、まぁ予想はしてたが
しかも、かなりの数のアンコモンも付属してる。見知らぬ模様の周りに見知った物と見知らぬ模様がたくさん浮かんでるハッピーセットだ。
メインである金の効果は分からないが、それでもこの魔石一つ飲めば、もうそれだけで超戦力になれるスーパー魔石である。アンコモンだけで充分だ。
「うわっ、え、すご……!? ちょ、ヤマトさん! これください!」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ」
めちゃくちゃ育ってめちゃくちゃ揃ってるレア中のレアだぞ。
見ればメインの金効果を示す模様の周りを、アクアロードとクリコン、エコロケ、ストレングスとインテリジェンスにアジリティ、更に俺の知らないアンコモン効果っぽいのが二個着いてる。
「もしかしたら、俺が知らないこの二つの模様も、アンコモンどころかレアの可能性だって有るんだぜ」
「ください! めっちゃ戦うんで! お願いします!」
「はいダーメ」
て言うか、コイツ忘れてないか?
「あのなぁ。そもそも、サメ仕留めたのはフリルだぞ? お願いするならフリルにしろよ」
「……あっ!?」
馬鹿め。フリルはこう言う、「ペットだからどうせ決定権は飼い主にあるだろ」的な対応されるの凄い嫌がるからな。タクマお前、フリルの好感度めっちゃ下がったぞ。
「ほらフリル」
「にゃぁ」
「あああぁぁあ〜!?」
タクマに対してつーんとしてるフリルに、サメから引き抜いた魔石を渡すとすぐパクッと飲み込んだ。
金魔石の摂取は一時的にダウンするリスクが有るが、今はどっちにしろ安全な拠点とか持ってないから仕方ない。しばらく俺がフリルを守れば良いんだ。
「----おおーい! ヤマトくーん!」
金魔石を飲んだフリルが異能の定着までぐったりした所を抱っこすると、遠くからヨシオの声が聞こえた。どうやら戦闘が終わったのを感じて合流…………、
「…………は?」
--合流、しに来たのかと思ったけど振り向いて確認したら違ったわ。
「なにっ、なになになに!? 今度はシャチかッ!?」
振り返ったその先に、大量の水を纏って地面の上を泳ぐシャチが、ヨシオ達を追い掛けてる様子が見えた。
…………おいおい、なんだよ鴨川。全然シーワールドじゃねぇぞ。
誰がどう見てもデスワールドだ。
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