第一章

第1話

 おかあさんのわれるがままに高校受験こうこうじゅけんをし、ずっとずっといもうとくらべられてきた。

 みとめてもらいたくてたくさん頑張がんばってきたつもりだけど、わたしには見向みむきもしてもらえない。

 そんな現実げんじつからげたくて、いまわたし旧校舎きゅうこうしゃ図書室としょしつている。ここはひとがいなくて、すこ薄暗うすぐらくて、わたしをかくしてくれているみたいでく。ここはだれもいない、わたしだけの秘密基地ひみつきちみたいだとおもった。

 そんな夢物語ゆめものがたり今日きょうくずされるともらずに。


 ◾◽◾◽◾◽◾◽◾◽◾◽◾


 いま昼休ひるやすみ。友達ともだちもいないわたし一人寂ひとりさびしくだれもいないほこりっぽい旧校舎きゅうこうしゃ図書室としょしつ片隅かたすみでお弁当べんとうべている。

 でも、教室きょうしつみたいにさわがしくなくてく。

 そんなことをかんがえてたらたなうしろろのわたしからは死角しかくになってるところから物音ものおとこえた。

「だ、だれ?」

 ビックリした。ひと気配けはいなんてなかったのに。

 もしかして、幽霊ゆうれい!?

「あ?なんだひといたのかよ。」

 しゃべった。幽霊ゆうれいしゃべった!?こわいんですけど。

 どうしよう。げるには、そのたなちかくとおらなきゃいけないし。

 っていうか、わたしなにわるいいことした?あやまるからゆるしてください。そんなおもいで、つくえからはなれられないでいると、まえかげちた。

 おそおそかおげてみると、なんとイケメンがまえっているではないか。どこぞの少女しょうじょマンガみたいな展開てんかいだ。全然ぜんぜんドキドキしないけど。

 すると、イケメンくんはなんとうことか

「ぷっあはは。おまえ、すごいかお一人ひとり百面相ひゃくめんそうしてる。あ-、おもしろ。」

 と、おなかかかえて大爆笑だいばくしょうしている。

 そんなにひどいかおしてた?

 でも、それにしてもレディにたいして失礼しつれいすぎでしょ。綺麗きれいかお台無だいなししじゃない。

 一瞬いっしゅんでもイケメンだとおもったわたし馬鹿ばかだった。残念ざんねん


 これがわたし先輩せんぱいとの出会であいだ。このあと、あんなことになるなんて、おもってもいなかった。





            ⇓⇓⇓つづく⇓⇓⇓

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る