私なんか

プロローグ

　ある日（ひ）、サッカー部（ぶ）の原先輩（はらせんぱい）にこんなことを言（い）われた。

「私（わたし）なんかじゃダメなんだって。そんなの気（き）にすんな。気（き）にするからダメになるんだよ。」

その言葉（ことば）に私（わたし）は救（すく）われたような気（き）がした。こんな私（わたし）でも、変（か）えていけるのかな？なんて。

でも現実（げんじつ）はそんなに簡単（かんたん）には進（すす）まないよね。わかってるよ。

だけど、私（わたし）は諦（あきら）めないって決（き）めたんだ。

だって、このままじゃきっと、辛（つら）いままだもん。少（すこ）しでも出来（でき）ることがあるならやっておいたい。後（あと）から後悔（こうかい）しないように。

それに、今（いま）できることを精一杯頑張（せいいっぱいがんばる）るってやつ、憧（あこが）れてたんだ。好（す）きな小説（しょうせつ）の主人公（しゅじんこう）にはなれないけど、そんな人（ひと）になりたいな、と思（おも）ってるの。

これは私（わたし）、南（みなみ） 比菜子（ひなこ）と原（はら） 透先輩（とおるせんぱい）の、不器用（ぶきよう）な成長物（せいちょうもの）語（がたり）。