金閣、銀閣を探す。

@tsumugiuchinami

第1話金閣異世界に来る

俺たち金閣銀閣。


自分達の思うがままに生きてきた。


その名が人々に知れ渡るにはそう時間はかからなかった。


世は戦国時代のこと、、、、、だった。





「ここはどこだぁ〜」


俺は金閣。


弟の銀閣と一緒に戦国の世を生きてきてやっと名のある大名達と対等になるまでに力をつけてきたところだった。


見たこともない場所に金閣はきていた。


その時「キャッー!!」


と娘が叫ぶ声が聞こえた。


そこには娘が軍隊らしき男どもに囲まれ蹴られているところだった。



金閣はすぐさま駆けつけ、男どもが持っていた刀でそやつらを切り捨てた。


娘は普通に人を斬り殺すことが出来た金閣に恐れを若干感じているようだったが


「ありがとうございます」


と引きつった顔でお礼を言った。


「気をつけなよ、、っておい!」


金閣はちらっと娘の方に目をやるとなんと彼女からは尻尾が生えているではないか。


妖?!にも似たような風貌、、妖にして人間の少女に近い存在。。


「妖??なのか?」


「そうですが、、あなたさまは人間なのでしょうか??それにしては臭いが私達妖に近しいものを感じますが、、、」


俺は何も言えず呆然と立ちすくむだけであった。。


「妖なんて珍しいものでもないでしょう。お金を持っている人たちは妖を奴隷とし所持している人は多くいますよ。」


どういうことだ?ここは日本ではない。


いや日本でもないというのが正しい。


自分が知っているどの世界でもなく、妖なんて存在初めて目にする。


「名前は金閣だ。君を妖として、俺はその、、妖と同じ臭いがするのか?」


「私達、妖も見た目は人間と対して変わらない種族もたくさんいて、、」


「私達妖は鼻が何十倍も人より聞くので、、基本的には臭いで判別しています、、」


と娘は語った。


そうすると俺はここでは妖になるのか?!


元の世界で人を散々斬ってきて本当の妖になるためにこちらの世界に来たのだろうか。。


ふとそんなことを考えていると、


「シン。。と申します。良かったら私の家に来てください。助けて頂いたお礼に渡したいものがあります。」



「ここがお家になります」


若干の胸ドキドキをかかえ、到着してみると

若い女が住むには似合わないボロく狭い部屋だった。


「来ていただいたのに、狭くてすいません」


そういいながらもシンは渡したいものを奥からとってきた。


「渡したいものはこの刀です」


初めは何をされるのかと驚いたが、この家には似合わない見事な刀を取り出した。


「父から受け継いだ刀です。名は村雨。

正式名称は侍不浄村雨です!」


持った感触はとても重くこの手練の自分でも扱いきれるかどうか分からない代物だった。


「なぜお前のような女がこんな刀を?」


と聞くと、、


「私はこの刀で人間に復讐しようと考えていました。」


衝撃の発言をした後シンは語り始めた。


「父は早くから母を亡くしたこともあり男手一人で私を育ててくれました。父はいつか妖の立場をもっと高くしたいと考えそのために必死で働き人間界で唯一名のある立派な妖になることを目指していました。」


「しかし父は妖であることから体力や身体能力が高いことを人間にうまく利用され、酷使され、病気になり、それでも私のために働き続け、やがて、、、、死にました。」


「私は父を利用していた人間が父のことをどう言ってたか知っています。父が死んでもこれっぽっちも心を痛めない。そういう卑劣な奴らです。」


シンは目を閉じながら続けた。


「私の心配するフリをして、懐に入り込み、私にも手を出してきて沢山酷いことをされ利用されてきました。」


「父は死ぬ前にこの刀を、売ってどこかで暮らしなさいと言ってくれました。ですが私はこの刀でいつか父を利用してきた人達に復讐してやると心に誓いました。」


シン最後は涙を堪えながらそう言った。


シンがこれまでどのような過去があったかを聞き、自分の小さかった頃と重ねた。


自分も貧しく親もおらず、弟の銀閣と必死でその日その日を悪事に手を染めながらも生き苦労したのを思い出した。


「でもいいんです!私にはこの刀は重すぎるし、働いていた人達も金閣様が斬ってくれましたので、どこか遠くで平凡な暮らしをします!」


とシンはいうと初めてみせる笑顔を、くれた。


「もしよかったら俺と旅にでないか??」


金閣は続けざまに、


「実をいうと俺はここらに詳しくない、、

弟とも離れてしまってて、誰も頼る人がいないんだ。」


そういうとシンは目を輝かせながら、


「いいんですか?!いきましょう!」


と満開の笑顔で顔を光らせた。


「だが、いいのか?!俺は臭いは妖だが、一応、、シンの嫌っている人間、、だぞ??」


唯一気になっている部分を率直にきくと、


「いいんです!金閣様は人間の感じがしませんし、何より全ての人間を嫌ってるわけではありません!」


シンは言葉を続けて


「私が復讐したいのはこの趙の国の軍人や、それを統べる将軍です!

父が死ぬ原因になったのは、まさにこの人たちに利用され続けたからです!」


そうだったのか、、趙の国に金閣も疑心感を抱きつつも自分に対しての嫌悪感がなく一安心した。



「とりあえず弟を探すことを最優先にしたいのだが、どこに向かえば良いだろう?」


と聞くと、


「ここから東の先にある関の国がいいと思いますよ!!人も1番集まりますし」



一旦の行き先は決まったものの自分には金も地位も0からのスタートだ。


弟の銀閣もこちらの世界に飛ばされているのか??もしくはまだ戦国の世で自分の帰りを待っているのであろうか。


不安ばかりの旅がここから始まる。。

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