異世界で俺だけがアプリ開発者~馬鹿貴族を殴って街の門番になった近衛騎士。足税回収率100%を続ける事10年。徴税の力で最強になりました~
喰寝丸太
第1章 嫌な貴族をぶっとばす
第1話 転生と、近衛騎士と、左遷
どうやら俺は転生したらしい。
赤ん坊になって、知らない言葉で話掛けられている。
驚いた事に魔法があった。
異世界か。
遠くに来ちまったもんだ。
前世の俺はアプリ開発者だった。
それもうだつの上がらない。
異世界に来てコンピューターの類がない事が分かると、俺は前世の職の事は忘れた。
幼少期を問題なく過ごし。
5歳の俺はある考えを持った。
国家公務員になろう。
財務官僚は柄じゃないな。
警察官がいいな。
俺は異世界の警察官である騎士になる事にした。
古本屋で見た試験問題は楽勝だった。
日本の中学レベルの学力があれば問題ない。
一部法律とか歴史とかの暗記問題があるが、これから勉強すれば問題ないはずだ。
あと、剣を習わないと。
こちらは引退した冒険者に教わる事にした。
そして、15歳。
俺は見事、近衛騎士に合格した。
後で聞いた話だが、学力で採る枠が1つあって、学力試験のトップは家柄に関係なく入れるらしい。
俺は近衛騎士の同僚には
でもなんとかやっている。
今は16歳。
王宮の廊下で、前からシーツを山と抱えたメイドが歩いてくる。
見ていて危なっかしい。
落としそうだ。
俺は斜めに傾いたシーツの塊を支えた。
「半分持つよ」
「騎士様、
「俺は平民出だから敬語も要らない。ラッカーだよ」
「エクレアです。そうじゃない、エクレアよ」
「運んだお礼は……そうだな今の君の笑顔で十分だ」
「口説いてるの?」
「いいや、俺のポリシーというか、座右の銘というのかそう言うのがある。ギブアンドテイクだ。与えた物に対する正当な報酬があるって考えだ」
ギブアンドテイクは前世で仕事してた時の
俺の中に染みついている。
良いアプリなら高い金が取れる。
与える物『ギブ』が大きいから、貰えるもの『テイク』も大きいってわけだ。
ただ、この基準は人によって違う。
それは理解している。
とにかく物事はギブアンドテイクだと思っている。
「変わってるのね」
それから、エクレアとは話すようになった。
ある日、部屋からエクレアの悲鳴と、争う声が聞こえた。
俺はその部屋に飛び込んだ。
そこは布団とかを収納する倉庫らしい。
中には着飾った男と衣類を乱したエクレアがいた。
男はエクレアに馬乗りになっている。
「やめろ!」
「ちっ、良い所で邪魔をするな。俺様はアーモ伯爵だ。近衛騎士か? どこの隊だ? 悪い事は言わない。このまま去れ」
俺はアーモをエクレアから引きはがした。
エクレアを起こして、着衣の乱れを直してやる。
「大丈夫か?」
「ええ」
「この事は問題にしてやる。貴族に逆らったってな」
「俺の事はどうでも良い。ギブアンドテイクだ。エクレアに金を払え。慰謝料だ」
「ふっ」
鼻で笑いやがった。
そうかい、お前がエクレアに与えたのも暴力。
お前の報酬は暴力だと言うんだな。
よかろう。
俺は男を殴った
「ぐはっ」
俺はエクレアと部屋を出た。
「エクレアはこの後どうするんだ?」
「ラッカーこそ大変なんじゃない」
「俺の事はどうでも良い。ギブアンドテイクに従って生きるさ」
「あなたらしいわね。私はここのメイドを辞めて、どこかの商人の家でメイドをすると思う。心配しないで」
「そうか。寂しくなるな」
「今までの支払いよ。ギブアンドテイクね」
キスされた。
そして呆気にとられた俺を残してエクレアは去って行った。
俺は隊長に呼び出され、街の門の勤務を言い渡された。
左遷だな。
だが、給料を払ってくれるなら門番の仕事も悪くない。
「魔法で火を点けてくれないか」
門番の同僚にそう言われた。
「良いぜ。銅貨1枚だ。【魔力よ火を点けろ】。あれっ、炎が出ない。嘘だろ! 何でだ!」
「呪いでも食らったか。眉唾の伝説だがな」
あり得ないとも言えない。
貴族の財力と人脈なら、眉唾の伝説もなんとかするだろ。
あー、呪いをくらっちまったか。
奴のプライドの値段はそこまで高い物だったらしい。
俺としては呪いのギブを与えられたのだから、それにふさわしいテイクを何時か与えないとな。
今はツケにしといてやるよ。
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