今を生きる辛い君へ

みなみ

第1話 おわりではじまり

辛い


週5 1日8時間+残業2時間程度


やりたくもない仕事続けている


1週間に対して働く日が多すぎる


生活の為の仕事ではなく仕事のための仕事


30歳手前にして限界を迎えた


働く意味はわからないけど

働かないと暮らしていけない


奴隷のように働かされてる毎日


とある雑誌で見た


金持ちは働かなくてもどんどん

金が手に入るらしい


俺らみたいな奴らが代わりに働いてるから


それを資本主義のK字経済とかなんとかって


もういいかな。疲れたな。、


俺らのおかげで金持ちは毎日が日曜日だって


もうこれ以上,搾取されるのはしんどい


こいつらに対抗できる唯一の手段は....


家から駅まで出勤時に通る

河川敷を歩いている


息をしていても溺れてるみたいに苦しい


ならいっそのことあの川で溺れても...


いや,むしろ


溺れた方が苦しくなくなるんじゃないかな


無意識の上に意識がうすく

のり付けされたみたいに


ゆっくりと少しずつ

僕の足は導かれるように川の淵へ


自分だけど自分じゃない感覚


川の深淵を覗いた。


そこにぼんやりと写るスーツ姿の自分


深淵もまたこちらを覗いているように

招かれているように見えた。


「疲れた。」


右手のスーツカバンは離せず足を水につけた


心地よい冷たさ


左足、右足


また左脚、右脚と一歩ずつ水の中へ


太ももから腰へと徐々に深くなる水深


深くなっていくほど

僕の意識は浅くなっていく


頭まで水に浸かった。


少しずつ息苦しさを感じる


でもあのオフィスで過ごす

10時間と比べたら心地よい苦しさ


何故か母を思い出した


僕の右手を引きながら少し前を歩く姿

反対の手にはスーパーの袋


少し屈みながら笑って話しかける横顔


暖かい、心の感触


「あぁ、僕は愛されていたんだなぁ」


少し息を吐く、深く堕ちていく


遠のく意識の中


懐かしい感傷に水の中で、涙が浮かぶ


「クソッタレな世界で産まれたけど

あの母の暖かさを知れただけでも

産まれてよかったな。」


そう思った


徐々に細くなっていく


線が切れそうな


布団の中で眠りにつくか

つかないかの曖昧な心地よさを感じる


「ありがとう。さようなら」


すっと力が抜けたその瞬間


閉じた瞼の裏に眩い光が刺す


擦れる意識の中、目を少しあけると


そこには見たこともない乗り物から

光が照らされている


その光が僕の体を包み込んだ


堕ちていく体には

目の前の光をただ

見てることしかできなかった


....



はっ!!!!!!


目を開けると川の淵に立っていた。


あれ、俺はこの川の水の中で...


いや、この川ではない。


ここの水はすごい透明で

そのまま飲めそうなくらいきれい


しかも周りがジャングルのように

でも神々しく木々が茂っている


ここが天国...?


透明な水をのぞく


そこにはっきりと写るスーツ姿の自分


相変わらず右手にはスーツカバンがある


それよりびっくりしたのは

先程と全く同じ姿の俺が立っている


一体、なにが起きた...!?

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