つくもがみ統括本部―無帰課―

鈴木しぐれ

『陰陽雑記に云、器物百年を経て、化して精霊を得てより人の心を誑す。これを付喪神といへり』

――――――御伽草紙の一つ、「付喪神記」冒頭より



人の手により作られた『物』は百年この世に在り続けると、命を得て人の姿をもった付喪神となる。その姿はかつて関わりのあった人間に似ていたり、いなかったり。

人の姿で、人の世の中で、人と同じように暮らしている。


これは、彼ら付喪神の和やかな日常と、それを守るための非日常の物語。



***


無帰課――無に帰すものを見送るために存在する課。見送る側は、記憶を失った儚いものたち――

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