フラグ


「テンプレ使い?

テンプレって何だ?

母さん、アーノルド知ってるか?」

「知らないわあなた」

「俺も聞いたことないなートム、

スキルを聞けば分かるかもしれないから教えてくれるかい?」

3人は流石に困惑している、もちろん俺もだ。


「どうやるのアル兄?」

「スキルが書いてある場所を指で知りたいと思って触るんだ」

「わかった」

俺はアル兄に言われた通り半透明なパネルを指で触った。


「えーとパッシブスキルの方が、

テンプレが起きる場面に1日一回ランダムで遭遇するで。

アクティブの方が、

スキルを使うとテンプレが起きるようになる成功率10%だって」

スキルがわかったのでアル兄に伝えた。


「ごめんよトム、

まったく訳がわからん。

父さん達はどう?」

「同じくわからん」

「わからないわね。

テンプレが悪いことじゃないといいのだけど。

トムいい

、安全が分かるまでアクティブスキルはつかってはだめよ!」

「えーと大丈夫だと思うよ?」

「トムはテンプレが何かしっているの?」

「いや、知らないよ」

母さんにテンプレについて聞かれたけど、

どう話せばいいか思いつかないので、

知らないふりをする。


「トム何かあってからじゃ遅いのよ。

すでにパッシブスキルが発動しているのだから。

母さんのお願いを聞いてちょうだいトム」

そう心配そうにしている母さんを見てノーとはいえず。

「わかったよ母さん、

安全ってわかるまで使わないね!」

「約束よ」

母さんが安心した顔になった。

疑いもされなかった俺は信頼されているらしい。

多分使う。嘘ついてごめん母さん。


「テンプレ使いというのは何かわからなかったが、

おそらく戦闘職ではないな。

これで決まりだなトム。


約束した通りクルトのいる商会に見習いとして行ってもらう」

「で、でも」

「安心しろテンプレがわからない以上、一年間様子を見て、

もしそのテンプレ使いが戦闘職なら冒険者をしてもいい。

これも約束だ」

「わかったよ。約束だよ父さん」

俺はションボリしながら答えた、

テンプレ使いが戦闘職でないとうすうす知っていたから。


前に俺と父さんはもし職業が戦闘職ではなかったら冒険者を諦めて、

商会に見習いとして働いてもらうと約束していた。

その商会はクルト兄さんもことクルル兄の働いているので、

安心して預けられると言っていた。


「よし、

今日はトムの職業が決まったから、ご馳走にしよう!

アーノルド狩りに行くぞ!」

「了解、狩の道具を取ってくるよ」

アル兄は武器を取りに自分の部屋に向かった。


「トム、言い忘れていたんだがステータスを確認する時は、

ステータスオープンではなくステータスといいなさい。

ステータスなら自分以外に見えないからな。

未だ職業差別をする奴が多い、

トムは変わった職業になったんだ気をつけろよ」

「そうなんだ、、」

「父さん持ってきたよ、

トム凄いやつ狩ってくるから楽しみにしてろよ」

「ありがとうアル兄」

父さんに職業差別のことをきいて落ち込んでた俺を、父さんの分も武器を携えてきたアル兄に頭を撫でられた。


「じゃあ母さん行ってくるよ」

アル兄が母さんに向けて言った。


「ええ、

いってらっしゃい。

あなたもアーノルドも気おつけて行くのよ」

「大丈夫だよ母さん。

もう19歳にもなるんだ油断はしないよ」

「そうだぞ母さんアーノルドはもうすっかり俺より狩りがうまいからな。

俺の方がしっかりしないとな。

では、

行ってきますのアレを」

そう言って母さんに、

口付けをした父さんと呆れた顔のアル兄は玄関に向かっていった。

そして乙女のような表情の母さんと俺が部屋に残った。


そう父さんと母さんはラブラブなのである。

昔冒険者をしていた父さんが依頼中に出会った母さんに会い。

お互い一目惚れしたらしい。

がたいがよく強面の父さんに今は肝っ玉母さんだが聞いた話だと、

とても気弱な人でなんとも儚げな女性だったらしい。

俺は信じてないけど。


「トム食器を片付けるの手伝って、

あとそれが終わったら畑仕事たのむわね」

「はーい」

俺は信じない。





食器片付けが俺は言われた通り鍬を持って畑仕事にやってきた。

父さんが夏野菜を植えたいらしく、

使ってない畑を耕して欲しいそうだ。

そういえばこの世界にも四季があり、

今は春の季節だ。


「よっこいせーどっこいせーよっこらせー」

無言でやるのも暇なので、

どっかで聞いた言葉を吐きながら鍬で土を耕した。


耕した俺は、

鍬の刃がついてる方を下に地面に立てそれを支えに自分の体を少し預けだらけていると聞き覚えのある声が聞こえた。


「トムサボっているの?」

「いや、今さっき耕し終わったんだよ。

ライトこそサボりだろー」

「サボりじゃないよ、明日僕の職業が分かるから今日はお休みしてもいいって言われたんだよ」

「そういえば俺と1日違いだったな」

「トムはもうわかったんだよねー何だったの?」

「えーと内緒かなー父さんに人に言うなって言われたし悪いな」

「そっかぁートムは昔からすごかったからきっと凄い職業だと思うんだ!

そうでしょ!そんなんでしょ!」

「まあ、まあな」

そう笑顔で聞いてくる幼馴染に顔を引き攣られながら答える。


「あっそうだメイちゃん達に呼ばれてるんだった。

トムまたね!」

そう言ってライトはメイの家の方角に走っていった。


「はぁー相変わらずモテるよなー、

この村の年齢近い奴フルコンプしてるんじゃね? 

それに幼馴染とはいえ言えないよなーよくわからない職業じゃ」

そんなこと考えながらふとスキルを発動してみた。


「『フラグ』」

唱えたあと、

何か起こるか周りを見渡すも何も起きず。


発見したのは、

自分の何倍もの大きさのトカゲの上で白い蜘蛛が前足を上げ、

万歳するように上下に動かしてることぐらい。


「白い蜘蛛は珍しいけど、

だから何なんだよ。

はぁー、畑仕事終わったし帰ろ」

そう言って俺は鍬を持ち家へ向かった。


後ろでさっき見た大きさの白いトカゲが自分を見ているのを気付かずに。


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