第18話 『悪魔達のデッドヒート』トロール編6
【バロン岩の畔】
あたりは、静けさに満ちていた。
そこには、焚き火の後と食べ物を食い散らかした後、そしてほんの少し焦げた匂いがした。
「なんや、おらんくなちゃたんか?」
グリースは、フィルに言った。
「すみません、僕のせいです!」
「なんでや?」
「僕の番なのに寝てしまったからです」
グリースは、それを聞いて少し動きが止まったが、ヘラヘラ笑い出した。
「そんな事かいな、別にええやないか、眠たかったんやから、それにトロールがいなくなったのは、トロール次第やないか、フィルのせいやないで!」
作者は、思ったなぜグリースは、フィルの睡眠時間を削っておいて悪気なく、いい感じの事をいうのか?
多分、彼はあまり頭を使ってないからだと思った。
「すみません」
フィルは、もう一度申し訳なさそうにグリースに謝った。
「フィル、気にすんな、トロールを探しにいこうやないか!」
グリースは、フィルに自分の背中に乗るように催促した。
グリースは、フィルが自分の背中に乗ると空に飛びだった。
空を、飛ぶグリースの真上には二つの太陽が眩しく輝いていた。
【一方、ガルダダの家では】
ガルダダの家の前に、立派な鳥と麒麟がいた。
鳥の方は、2メートル近い大きさで赤と緑の光沢がかった羽かが何層に連なっていた。
麒麟は、黄と緑の毛並みをしており、全体から落ちた雰囲気を醸しだしていた。
ガルダダが玄関から2つのお皿に山盛りの餌を持って外にでてきた。
「おはよう、ファルゴ、おはようウォルフィト」
ガルダダが、お皿を差し出すとファルゴとウォルフィトは、行儀よく食べ出した。
「後どれだけ、一緒にいられるかわからないけど、俺がいなくなっても君達は、大丈夫だ」
ファルゴとウォルフィトは、甲高い声で鳴きだした。
”キューキュー〟
”バフゥバフゥ〟
玄関の扉から、パピコが顔をだした。
パピコは、外の風景に少し戸惑った。
ガルタダは、パピコに気づく挨拶した。
「おはよう」
「おはようございます」
「昨日は、よく眠れたか?」
「は、はい」
パピコは、目の前の男が誰なのかわからず、怪訝そうな顔で尋ねた。
「あなたは?」
「私は、ガルダダ、そして、ファルゴとウォルフィト」
「私は、」
「知っているパコだろ」
この世界では、自分はパピコだったが、ガルタダが”パコ〟の方が呼びやすそうだったので、黙っていた。
「はい」
パピコは、目の前にいるのが絵本に出てきたガルタダと理解した。
「君は運がいいな」
パピコは、ガルタダが何を言っているか、わからなかった。
「君のリュックに入っていた水筒が君の命を救った」
「水筒はダメになってしまったが命が助かって良かった」
「そうだったんですね、背中に凄い衝撃がしてそれから記憶がなくて、、」
「私と一緒にいた、雑巾顔した変な人はどこにいるか知ってますか?」
「はは、グリースの事かい、バロン岩の畔のトロール所に行った」
ガルダダは、パピコに事の経緯を話した。
「そうだったんですね、、ミントいなくなっちゃたのか、、」
ガルダダは、パピコの元気そうな表情をみて言った。
「どうだ、グリースが帰ってくるまで、呪文をひとつ覚えてみないか?」
「呪文?」
「そう、今後、それは君を助けてくれる事になるかもしれない、どうだい?」
「はい、私にできるなら」
「もちろん、できるさ」
ガルタダは、パピコを見て微笑みを浮かべた。
パピコは、この世界にきて、身体を動かす事はできたが、その他の事が何もできない事に不安を覚えていた。
呪文が何かの役に立つなら素直に嬉しかった。
「じゃあ、朝食たべたら早速、始めよう」
「はい、お願いします」
パピコの目は、潤い輝いていた。
それを感じたガルタダは、パピコのそれが少し眩しすぎた。
【地球】
神奈川県湘南高校
直樹が、同じクラスメート3人の女子に囲まれていた。
クラスメートAは、直樹を問いただしていた。
「あなた、三好さんと付き合ってないのでしょう?」
「三好は、ただの友達だよ」
直樹は、そっけなく答えた。
「そう、良かった」
「桜庭さんの事は、どう思ってんの?」
「桜庭は、桜庭だろ」
クラスメートBが、話に割り込んできた。
「桜庭さんが、真鍋にプレゼントしたい物があるらしいんだけど貰う気ある?」
「それは、ありがたいが、お返しはできないと思う」
それを聞いた女子達は、苦い顔をした。
クラスメートCが口を開いた。
「真鍋は、好きな子とかいるの?三好さん?」
「どうでもいいだろ」
少しみなが沈黙した。
Aが聞いた。
「誰か他いるの?」
直樹の心の中には、葉日子いた。
♪キンコーン、カンコーン♪
昼休みの終わりを、知らせるチャイムが鳴った。
【カナンドール】
ソロニア砂漠
身体の大きな男と身体の小さい男が馬に跨り砂漠を渡っていた。
ある旅人が二人の男に声をかけた。
その旅人は、マントで全てがおおわれていた。
身体の大きさは、1メートルくらいしかなかった。
その旅人は、二人の男に話しかけた。
「すみませんが、お水を分けてくださらんか?」
二人の男は、馬を止めた。
「ギルド、わたしてやれ」
身体の大きな男が、小さな男に言った。
「はい、わかりましたバルクロス様」
ギルドと呼ばれたその男は、旅人に水筒を投げた。
”ゴクゴク〟
旅人は、喉を鳴らしなが水筒の水を飲んだ。
「ひゃー助かりました」
旅人は、そう言うと続けて、話し始めた。
「不躾な質問ですが、これから何処に向かわれるのですか?」
「ダナン城に向かう所だ」
バルクロスと言われていた男は、鋭い眼光を旅人に向けて言った。
「国王さまに呼ばれたのですか?」
「いや、そうではなく仕事だ」
「そうですか、この砂漠は、サソリが頻繁にでます。お気をつけてくだされ」
「サソリか、それは厄介だな、忠告ありがとう、で、あんたは?」
「はい、私めは、旅人で、ある箱を追って旅をしている者です」
「箱?」
「”叡智の箱〟と呼ばれている箱にございます、ご存じでしょうか?」
「いや、聞いた事ないな」
バルクロスは、顎に手を当てて摩った。
バルクロスが横を向くと、ギルドも首を振った。
【バルクロスとギルド】
旅人と別れた、バルクロスとギルドは、砂漠を走っていた。
「あいつは、いつまでダナン城を隠れ蓑にするつもりですかね」
ギルドは、バルクロスに聞いた。
「あいつはしつこい人間だ」
「じゃあ、やっぱり」
「あの男を殺すまでは城を離れないだろう」
【トロール】
ドタン地区
スミス湖
トロールBが狂ったように歩き続けている。
「おーい、Bどこまでいくんだ?」
”ギャーゴー〟
”ゴーゴー〟
トロールBは、ドグマの呪いにかかってしまっていた。
自らの命を自分で断つのも時間の問題だった。
「Bまてよ、どうしたんだ?まさか、、ドグマの」
そう言ったトロールCも突然汚物を、吐き出した。
”げぼぼ、ぼぼ、〟
そして、Cも奇声を発した!
”ギャーゴー!〟
”ギャルゴゴ!〟
トロールCの目は、見ると白くなっていて黒目の部分も淡い白になっていてた。
トロールAだけが、まともだったが、その光景が恐ろしくなった。
「間違いない、これはドグマの呪いだ」
トロールAは、そう呟くと足が震えた。
そこに2頭の馬にまたがったバルクロスとギルドが通り過ぎようとしていた。
”パカ〟
”パカ〟
”パカ〟
バルクロスは、異臭を感じた。
「なんか、臭いな」
バルクロスは、鼻を押さえた。
「バルクロス様、トロールでごさいます」
バルクロスは、前方にいるトロール達に気づいた。
「ギルドちょっとここで、待っててくれ」
バルクロスは、ゆっくりと馬を降りて、鞘から剣を取り出した。
その剣をトロール達に向けたかと思った瞬間、2回ジャンプして、トロールBとトロールCを首を次々とあっさり切り捨てた。
”バシュー”
”バシュー〟
ばたん、
ばたん、
トロールの二体とも首と胴体がバラバラになった。
「まだ、臭えな」
トロールAは、一瞬何が起きたの分からなかったが、バルクロスの存在に気づくと罵声を浴びせた。
「貴様、なにしやがんだぁ!」
「そうか、まだお前がいたのか?」
トロールAは、バルクロスに襲いかかった。
バルクロスは、軽くジャンプしてトロールAの攻撃をかわし、トロールAの首も呆気なく撥ねた。
”ビューン〟
撥ねられた首が、ギルドの目の前に飛んできた。
”ゴロ〟
”ゴロ〟
「ひぃぃーあわ、あわぁ」
三体のトロール達の首のない胴体から大量の血液が流れだしていた。
”どろ、どろ、、、〟
「ギルド待たせてたな、行こう」
バルクロスは、またゆっくりと馬にまたがった。
ギルドは、横目でトロールの死体をみると何かとても嫌な気分になった。
【その数十分後】
スミス湖付近
グリースは、フィルを乗せて空を飛んでいた。
「おらんな〜」
「本当にすみません」
「もうええって、俺にも責任が、あるから」
「任務を与えてくれたグリースさんには責任はないですよ」
「ちゃう、ちゃう、フィルの睡眠時間を俺が奪ったからな」
「どういう事ですか?」
「お前、全然きづかへんから時計を早めて時間がこない内に起こしてんや」
グリースがそう言ってヘラヘラした。
それを聞いたフィルは突然、目が変わり、豹変してグリースの首をしめ出した。
「よくも、よくも!」
フィルの顔が真っ赤になっていた。
「やめ、やめ、死んじゃう、死んじゃう」
グリースは、よろめき、どんどん下降していき、
地面に転がり落ちた。
フィルも地面に飛ばられた。
グリースは、顔を上げると
首だけになったトロールAの顔が、あった。
「ギャーァァァーー!」
「なんや、コレ!」
フィルは、我にかえるとグリースに謝った。
「ごめんなさい、つい、」
フィルは、すかさず土下座をした。
「いや、いや、これ、みろや」
グリースは目の間にあるトロールの首を指さした。
「わぁーあああ!」
フィルは、驚き後ろに倒れて震えた。
グリースは、あたりを見渡した。
するとトロール三体の首がない身体のトロールがあるのを気づいた。
フィルも同じ光景をみた。
その光景に二人とも愕然とした。
「ど、どうしよう」
トロールの死体に蝿がむからがっていた。
とうとうグリース達は、トロールの尿を得る事できなかった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます