1月19日
夢を見る間もなく、日の出と共に起こされた。
『《おきて》』
(早い)
『《もっとはやくじゅんびして》』
(下見だよ)
『《でも!》』
大いに急かされ準備し終え、ジュラに留守を頼み、魔王の転移魔法で城へ向かった。
雲間から差す月光に、雪原の大地が
平地には森と、ぽつんと小さな城。
近くには川が流れている、幻想的で美しい景色。
遠くから獣の声、よく見ると大勢の竜種と鳥類が左右に分かれ見守っている。
聞いてないぞ。
(なんであんな)
『《やじうま!》』
(うまて)
「はなちゃん、会わせたい人が、私の友人の憤怒ですよ」
(よろしくお願いします、桜木花子です)
魔王の隣には少し大きめの日本刀を携えた立派な体格の男性、ジャストフィットしている制服と立ち振舞いがとても凛々しい。
「憤怒だ。宜しく桜木君」
握手し改めて見上げると、帽子から僅かに見える黒髪に黒い瞳。
久し振りの生粋の日本人の容姿。
「あの、初めまして、従者のショナです」
「おう、宜しく頼む」
ショナの目はとてもキラキラしていて、とても嬉しそう。
憧れの人なのだろか。
微笑ましい挨拶の合間に自分の足元から気配を感じ、下を見た。
白い雪を溶かし、地面から緑色の手が生えて来た。
《“我はドリアード、祝福を”》
緑色の人型が英語で名乗ると、頬に。
お腹が減った、喉が乾いた。
「ショナ」
「桜木さん!」
(あ、おは、ショナ。ここどこ)
「欧州の世界樹です。はい、お水です」
見知らぬ場所で水に浸かっていた体を起こし、ショナに差し出された水を飲む。
うまい。
(もっと)
そう言うと視界の端から、緑色の手がコップに伸びた。
その苔むした緑色の手から、グラスに水が注がれ始めたが。
面倒なので直接飲む。
《お、わ、あ》
「ご馳走さま」
《う、うむ…》
羽の生えた人の後ろに隠れてしまった、良く見ればエルフっぽいのも居る。
寝惚けて気付かなかったが、雰囲気が重い。
(世界樹ってなに、どうなった、1から)
「はい」
ざっと言うと。
祝うつもりでドリアードが出てきたが、祝福の種付けに失敗。
だが再度種付けし、無事に成功した。
膜はまだ治らず、と。
《ご主人、ショナいいこなの、失敗したら滅ぼすっていった》
(良い子だね、何時間たった?)
「旅館を出て1時間とちょっとです」
(あらー…ドリアードね、足元から出て来た緑か)
《すまぬ》
《本当に迂闊でした、申し訳ございませんでした》
『悪かった』
(うん、はい。許す)
《良いのですか?》
(善意だったんでしょ?)
《うむ、協力するつもりじゃったが》
(失敗したのも稀な体質だったからだし、以後気を付ければ良い)
《ありがとうございます》
(魔王とかに報告はしてある?)
「あ」
《あ!いってくる!大丈夫ってー!》
いつものぬいぐるみ体型から瞬時に巨鳥へ変身し、猛ダッシュ後に飛び去る巨鳥を見届け、ショナに向き直る。
(ショナ君)
「はい、なんでしょう?」
(滅ぼす?処しちゃう?)
「あれは言葉のあやで、滅ぼすのは無しで」
(だそうなので、ちょっと帰ります)
《もう少しここで英気を養っていかれては》
(トイレ行きたい、ご飯食べた、顔見せたい、そしたらまた戻って来ても?)
《はい、是非》
(じゃあ、また後で)
用意してくれた聖獣は真っ白なデカいカラス。
この子も、綺麗でかっこいい。
「はなちゃーん!」
「無事か桜木君!」
城の玄関前に魔王と憤怒さんが待っていてくれた。
着陸早々にショナが謝り倒している。
慌てたんだろうし、悪いのはドリアードなのに。
「まぁまぁショナ君、慌ててましたし、緊急事態でしたからね」
「味方だと分かって気が抜けてしまったんだろう、無理も無い。無事ならそれで良いさ、緑色もココから逃げなかったのだし」
《すまん》
「それよりも、大丈夫ですか?一時はどうなるかと」
「あぁ、本当に。大丈夫か?痛みは無いか?」
(ご心配おかけしました、全く大丈夫です)
「うん、で、こいつを伐るか?」
《ひぃ…》
(お気持ちだけで充分です、和解したので)
「む、そうか」
「はなちゃん、これからどうします?」
(トイレ貸して)
「はい、どうぞどうぞ」
魔王の城は暖炉に水洗トイレ、壁には子供が描いた絵が沢山貼ってあるという摩訶不思議な組み合わせ。
非常に面白い。
用を済ませ案内された客間には、窓の隙間から生えたドリアードが不安そうに座っていた。
良く考えるとドリアードなんかは英語なのに、聞き取れてる。
不思議。
《すまぬ…》
(まぁまぁ、死ななかったからセーフ)
ドリアードの背中をポンポンした。
感触は苔むした樹だ。
少しひんやりとしていて、夏場は良さそう。
「そうか、桜木君もドリアードの言葉が分かるのか」
(うん?判んない人は挙手を)
魔王、憤怒さんが手を挙げた。
《少し前にな、そうなったのじゃ。魔と混じらぬ様に》
(ほう、ショナが聞き取れるのは何で?)
「《エルフか妖精の血か、何かが混じっておる。因みに召喚者は全種族を聞き取れる筈じゃ》だそうです」
(だって、魔王は知ってた?)
「いいえ、そもそも接触した事が無いので、妖精等は御伽噺だと思ってました」
(ショナは?)
「何かの血が入ってる事も、ドリアード達を見たのも初めてです」
《召喚者以外には、基本的に接触せぬでな》
(へー、ジュラに報告は?)
「それなんですけど、ジュラさんから連絡で朝食が来た、と。どうします?釜揚げうどんだそうですよ」
(食べたい、でも説明もしたい)
「では呼んできましょうか、朝食と共に」
(ありがとう。憤怒さんは食べられます?)
「おう、アイツと違って眠れるし、食べられる」
(一緒に食べませんか?)
「少し戴こう」
(あれ、もう1匹はどこいった?)
《おさめるのに、せつめいいったー》
(あらー…後で向かえに行って上げて)
ショナが着々と準備をする間に、空間がキラキラと光り魔王とジュラが戻って来た。
『桜木様、大丈夫ですか?』
(うん、こちらは憤怒さん)
『ジュラです。桜木様が大変お世話になりました』
「いや、俺は何も」
(それと、あそこに居るのがドリアード)
『精霊のドリアードですか!?』
(自称)
《やめい!本物じゃぃ!》
『ふふ、綺麗な色ですね』
(ねー)
《きぃー!訳せー!》
「『「いただきます!」』」
2つの桶いっぱいの釜揚げうどんには、普通のつけ汁、鴨ネギ汁、クルミ味噌、釜玉用の少し甘めの醤油が付いている。
他にも温泉玉子に生卵、ネギ、小エビの入った天かす、山菜の出汁煮。
箸休めには鶏ささみのカリカリ梅合え、すりおろし生姜や刻み海苔等の薬味は、どんぶりいっぱいに入っている。
「では、そろそろあの子を呼び戻しに行ってきますね」
《いっしょいくー》
(宜しくね)
「桜木さん、沢山食べて下さいね、予備の食料もありますから」
(おう)
《そうじゃった、人は食糧が必要なのだったな。ふむ、世界樹にも人間用の食事も用意しておくそうじゃぞ》
(トイレは)
《うむ、建てるそうだ》
(いっそ家を)
《了解じゃと》
(冗談半分)
《嫌か?》
(嫌では無い)
《じゃあ良かろう》
(ぅんー)
《遠慮するでない、詫びと協力する気持ち半分じゃ》
「守る側としては、住処は多い方が助かります」
「確かに、あの上空に手を出せる者は限られるだろうな」
(うーん…お酒好き?)
《うん?酒は嗜むぞ》
(日本酒とかどうよ、日本の酒)
《旨いのか?》
(どうだろ、憤怒さん、日本酒ってどうです?)
「お、旨いぞ、北のが好きだな。桜木君も呑める方か?」
(少し)
「そうか、今度良い酒を持って来よう」
《そうか、楽しみじゃのぅ》
(はい、是非)
「『「ごちそうさまでした!」』」
《ただいま、ご主人》
『ご主人、大丈夫?』
(おかえり。たぶん)
「これからバイタルチェックしますから、待ってて下さいね」
またエリクサーを飲み干し、バイタルチェッカーで確認。
警告音は無いものの注意表示が出ている。
「桜木さん、大丈夫ですか?」
(ダメ、ねむい)
「数値は安定してますけど、かなり下がりましたからね。世界樹に戻りましょうか」
(うん、憤怒さん、ありがとうございま)
「待て、案ずるな、まだ居られる」
(でも)
「心配するな、城で待つ」
「そうそう、彼は私がお世話しますし。この子とジュラさんを旅館に送ってきますから」
(ありがとうございます。魔王も。夕飯までには帰る)
再び巨鳥に変身した鳥類の背にショナと共に乗り、再び世界樹へ向かった。
着陸すると、ドリアードが薙ぎ倒された木々に腰掛けていた。
《おうおう、ココじゃよ》
(木、すまん)
《良い良い、また生やすで。それよりあの男じゃよ、恐ろしい男じゃったわぃ》
(きるか?)
《ソレじゃ、伐るだなんて相性が悪くて仕方無いわぃ》
(しぬの?)
《どうかのぅ、にしても賑やかじゃったの》
(いやだった?)
《二酸化炭素は好きじゃ》
(一緒に来る?)
《うむ、考えておく》
そうしてドリアードがスルスルと先導を始めたので、巨鳥を走らせ泉へ。
(お邪魔します)
《お待ちしておりました》
『おう!』
泉には全裸で入るのが1番だそうなので、脱いだ、全裸だ、恥ずかしい。
《それで、ドリアードが同行する件なのですが》
『折角だ、他のも連れてけ』
ドリアードだけでなく、女性とエルフ耳が選んだ付き添いも連れて行って欲しいと。
既に候補が何人か集まっているらしい。
(考えとく…ところで2人のお名前は?)
《ティターニャと申します》
『オベロンだ』
(まじか)
改めて頭上に居る女王を眺めると、少し儚げながらも凛とした母性溢れる美しい女性。
オベロンもまた様々な国の美しさを合わせ持つ美青年。
ドリアードは、苔むす人型の樹。
「申し訳ございませんでした、緊急事態とはいえ失礼を…」
「ね、ご…申し訳ない」
《いえ召喚者よ、我らは対等です。お気遣い無く》
『あぁ、気を使われても面白く無いんでな』
(あ、はい、おう)
「ありがとうございます。後は、膜をどうするかですね桜木さん」
(医神だっけか。先ずは、知恵の神様にだな…)
《きっと会えますよ【良い子でお眠り、可愛い子、良い夢を……】》
大きな着せ替え人形に綺麗なドレスを、綺麗な靴を履かせて。
髪の毛を整えて、お化粧しようとすると、人形が涙を流した。
他の人形も。
ハンカチを取ろうと振り向くと、周りは真っ白。
何体もの真っ白いアンドロイド達を眺める、無表情なのに苦しそう。
目を見開いたまま、焦点が合わないアンドロイド達、それを悲しい様な、切ない気持ちで眺め。
《お、良い夢じゃったろ?》
(切ない、機械の人形と居る夢、微妙。ショナは?)
《付き添いの候補者を連れてくる途中じゃ》
(気が早くないか)
《私達が言うのもアレですが…お体が危険でらっしゃる以上は、精鋭を連れ歩いて頂きたいのです……まっ、オベロン》
(おう、ごもっとも)
急いで服を着て案内されるがまま向かった先には、大勢のエルフが居た。
尖った長い耳を持つ者、褐色の肌であったり透き通るような白い肌の者も。
様々なエルフ達が待っていた。
「「「初めまして召喚者様」」」
「初めまして、桜木花子です」
《ご自由にお選び下さいね》
どうしてこうなった。
(数よ、どうしてこうなった)
《付き従える栄誉が欲しいんじゃよ》
《先ずは従者の助言に従って、人間嫌いで無い者を集めました》
「んーじゃあ、先ずは結婚してる者、婚約している者、挙手しつつ集団の後ろへ」
後方が見える様にと、ドリアードが木の根で足場を高くしてくれた。
奥まで見える。
《どうじゃ?》
「ありがとう、後方に移動した人はそのまま帰路へ。来てくれてありがとう」
オベロンが変な顔をしながらこっちに思い切り振り向いた、イケメンなのに面白い顔をする。
《アホ面が凄いのう》
「次、戦闘経験が全く無い者はコッチ、自信が無い者は前へ。他はコッチ……ご苦労様、コッチとソッチは帰路へ、ありがとう。次は……」
オベロンに変な顔をされながらも、色々聞いて半分以下にまで減った。
血が苦手な者、絶対死なない自信がある者、この篩い分けに納得いかない者も排除へ。
《あははは!もう変顔をやめいオベロン!はははは》
「笑って良いか悩みますね」
(ね…あ、ティターニア、名簿とかって)
《はい、少しお待ち下さい》
『面白いやり方だな』
《じゃの!お主の顔も面白っぐふぅ》
《お待たせしました、こちらです》
(読めな、読めたわ)
《眠っておる時にの、妖精文字を読める様に魔法を掛けておいたぞぃ》
「ありがとう、じゃ!解散!また後で連絡する!」
《それと、コレもじゃぞ》
(ん?草…エアープランツ?)
《そうじゃ、土が要らぬワシの分身じゃ》
(ありがとうドリアード、じゃ、一旦帰るね)
《はい、ではまた、お待ちしております》
『あぁ、気を付けてなー』
エアープランツを胸元に入れ、巨鳥の背に乗り地上へ。
魔王が玄関先で待っててくれた。
忠犬か。
(お待たせ)
「おかえりなさい、美味しそうな夕飯が待ってますよ」
(うん、ありがとう。で、ショナ君って約束した人は?)
「居ませんよ、大事な人も親兄弟以外に居ません」
(お、おう)
魔王に空間を開いて貰い、旅館へ戻った。
『おかえりなさいませ桜木様!』
『ご主人ー』
(うん、ただいま)
刺身と炙りの船盛り、猪のお鍋、三つ葉に出汁や海苔、卵黄の醤油漬けにネギなどなど。
巻いてよし丼でも茶漬けでもよし、出汁に酢飯に白米のお代わりがたっぷりある。
甘味は杏仁豆腐。
「『「いただきます!」』」
今日も魔王は大浴場へ。
旅館には宿泊の人数が増えた事をジュラが伝えてくれたらしい、魔王の分が増えて有り難い。
「『「ごちそうさまでした!」』」
余った飯はいなり寿司になるらしく、夜食がアサリうどんなのでぴったり。
帰って来た湯上がりフェロモン魔王に尋ねた、ずっと違和感があった事。
(魔王、憤怒さんはイケメン?)
《藪から棒じゃの》
「本当に、急にどうしたんですか?」
(美醜の基準が知りたくて、で、先ずは憤怒さんをと)
『桜木様、転生者様や召喚者様同士では美醜の感じ方が違うらしいのです。はい、マニュアルです、ココをお読みになってください』
(…タブレットはちょっと、紙で無い?)
「ではコチラを、後半ほど新しい情報です。先人の追記もありますよ」
(ありがと)
「私には、はなちゃんが一番ですよ。次にジュラさん、番外編だとショナ君ですかね」
《我は?》
『私は憤怒さんと桜木様、顔だけなら魔王。最下位にショナですわね』
《わーれーはー?なー、ショナ坊や?》
(ドリアードはなぁ)
「そうですね、評価はちょっと」
《誘惑せぬようにと、この姿に決めた弊害か》
(世界樹で見たのは上位じゃよ)
《ほう、見る目が有るのぅ。ショナ坊はどうじゃろか》
「僕は正視してないので」
《美しいからじゃろぅ?》
(全裸に近いからじゃね?)
「そうですよ、ほぼ裸だったじゃないですか」
(ほら)
《な、それを見んかったのかショナ坊!》
「見れませんよ、目端に入っても記憶してませんし」
『《えっち》』
(これ2匹)
『そうですよ、ショナだってお年頃ですし、ね?』
「ですね、双子達もいずれ…」
「見てないと言ってるんですが」
《何故じゃ…》
「あまり奔放な方はちょっと」
《1人に決めたら我、凄いんじゃぞ?》
(誘惑草)
《合っておるが、その言い方は何かのぅ》
『ふふ、クルクルと本当に可愛らしいですね』
(ジュラ、ドリアードの言葉は?)
『え?いえ、残念ですが』
(ドリアード、文字や言語の習得の時間はどの位?)
《文字で3時間、言語は最長で8時間、合わせだと5時間程じゃが、人によるがの》
(んーショナに文字の習得させると?)
《うむ、ショナ坊は言語を先に覚えておるで短時間で済む筈じゃ》
「桜木様、その文字習得の件ですが、妖精文字を覚えた時には大丈夫でしたか?」
(大丈夫だったよ、気付かなかった)
「はなちゃん、ついでに悪魔文字も覚えてみます?」
(悪魔?)
「契約魔法、誘惑に幻惑、寿命の取引、洗脳、魔力吸収…」
(やる)
「桜木さん、何でも飛び付くのは」
『許可が出次第ですね』
(えー、わかった。じゃ、ショナは文字を)
「はい」
念の為にとドリアードが深く眠らせ、文字習得の呪文を唱える。
沖縄の古い歌の様な、インディアン達の歌の様な。
眠くなるなコレ。
(なんて歌ってるの?)
『《覚えろーって。ご主人、聞き取れないと魔法覚えられないの》』
(え、何も覚えられなかったら、どうしよ)
《ふぃ、終わりじゃ。その時は誰か使役する奴を増やせば良かろう》
(それはちょっと何か)
《たわけ、能力が無ければ魔王を使役なんぞ出来ぬわ》
(お?)
『申し訳ございません桜木様…実はあの時、出来ると思って無くて……』
生まれたてや、寿命間近な生き物には魔法が掛け易く、不死性があったり長命な者達にはとても難しい。
事前の準備や相性も関わるが、信頼や服従が無ければ不可能。
なので今回は魔王が掛からないだろうが、掛かった振りをすれば収まると思った、と。
(なるほど)
《策士じゃのう》
『ですから小指が落ちた瞬間、とても怖かったです…』
「私は信頼されたかったので、良い結果になって嬉しいですよ」
(ドM、小指ごめんな)
「いえ、気にしないで下さい。あの時は凄く嬉しかったんですよ、信用して貰えるかもって」
《こやつ本当に魔王か?外見そっくりな変態じゃないのか?魔属はアホなおふっ!》
『ふん』
(こら、何でもかんでも相方に伝えないの)
《あい》
《うぁーん、尻尾でペイってされたぁ!》
(ねー、ドリアードをこっちに戻して)
『あい』
《しかたない》
『あの、桜木様、本当に申し訳ございません。騙してしまう事に』
(いいよ、全然許す。でも、婚約とかしてるなら言って欲しい、この先の付き添いは危ないだろうから、大事な人が居るなら辞めてもらいたい)
『え、あ、はい、実は……婚約したばかりで、申し訳ございません…』
(あら、式は?)
『6月に教会で、昔から通っている所がありまして』
(おー、おめでと)
《ふん、お人好しばかりじゃのう》
『いいこと』
《悪い人いたらたべる》
『うん、たべる』
《全部たべる》
《ぅう、こわぃ》
『お気遣いさせてしまい…』
(いいの、心配性でごめんね、明日は一緒に省庁に行こう)
『はい、連絡しておきますね。お時間は朝食後で?』
(うん)
「では、今からお土産を買いに行きませんか?」
(うん、いこ、ジュラも)
『はい!』
2匹とドリアードにショナを任せ、ゴマだれ団子、温泉饅頭、甘酒。
可愛い飴の入った缶を複数個、佃煮等の瓶詰めを全種類と購入。
「はなちゃん、持ちますよ?」
(ありがとう、4次元のポケット便利ねー)
「うちの双子も良く言ってましたけど、そちらで流行ってるのですか?」
(青いロボットは好き、喋って個性の有るやつ)
『もしかして、複数体居ます?』
(お、そっちも知ってるのか、嬉しいなぁ)
「詳しく教えてくれませんか?」
『(どっちを?)』
「じゃあ、どっちもで」
旅館に着くと、ショナはまだ眠っていた。
そして、少しして夜食が来たので、ショナと魔王の分を頂く。
稲荷寿司とアサリうどん、相性が良い、うまい。
そして歯磨き。
ジュラと青い個体を魔王に紹介し、就寝。
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