第30話 橋の錬成
「なるほどね、橋はいいアイデアかもしれないわね」
「うむ、さっそく作るか」
ペルーサのアイデアに賛成の二人。
「ちょ、ちょっと待て! 確かに橋があれば便利じゃが……そんなの簡単にできる訳ないじゃろ!?」
「ニカッ!」
少女の当然の疑問に余裕の笑みのペルーサ。
◇
少女の名前はアコン。幼いころから野犬に育てられ自分のことを山の姫だと思っているようだ。
アコンの縄を解き、自己紹介をすませる三人。オリハルコンのダンジョンを目指していることも伝える。
「ふむ……とてもお前がそんなにすごい魔法使いには見えんがな……」
ペルーサを怪しい目で睨むアコン。
「ま、まあ僕も橋は作ったことないけど。とりあえずアコンも橋の錬成に使う木を集めてくれるかな?」
「ふん、人使いが荒いな。私は山の姫じゃぞ」
文句を言いながらも木を集めるアコン。
オリビアが剣で次々と木を切り進む。しかし……
「うーん、橋を錬成するとなるともっと大量の木が必要ですよね……」
四人で木を集めるもなかなか橋を作るほどの木は集まらない。
「あ! そうじゃ!」
何かを思いつくアコン。
「いま工事で切り倒してる木は使えないのか?」
「あー!」
土砂崩れ対策の工事で切られた大量の丸太。
「確かにあの木を使えば橋の錬成の材料は足りそうだな。でも……」
ペルーサはグリンダとオリビアをチラッと見る。
「いいんじゃないかしら? むしろ捨てる手間が省けるってもんじゃないの?」
「うむ、それに個々の工事は王宮が請け負ってるはずだ。姫様の婚約者のペルーサならそれくらい構わないだろ」
「そ、そうですかね……」
◇
「たくさんありますね……」
工事現場には大量の丸太が並べられている。
「これを運ぶのか……」
「あら? 泣き言なんて情けないわねオリビア」
「この大量の丸太を運ぶんだぞ!?」
「ふふ」
グリンダは杖を取り出す。ペルーサにせがんだ伝説の木 ハイペリオンでできた最高級の杖だ。
――召喚魔法――
グリンダはゴーレムを召喚した。
「さあゴーレムちゃん! この丸太を運びなさい!」
グリンダに命じられたゴーレムは丸太を軽々と持ち上げ川辺を運ぶ。
「……なるほど! 召喚魔法にそんな使い方もあるんですね!」
「そうよ! いい杖のおかげかゴーレムも命令をしっかり聞いてくれるわね」
「す、すごい……これが魔法か……」
初めて見る魔法に驚くアコン。
「ふふ、野生児には刺激が強すぎたかしら?」
久々の召喚魔法がバッチリきまり、浮かれるグリンダ。
◇
ゴーレムのおかげであっという間に丸太を運び終えることができた。
「お疲れ様ゴーレムちゃん。さて、あとは頼むわよペルーサくん!」
「はい!」
錬成魔法はしっかり勉強してきたペルーサ。並べられた丸太に手をかざす。
(大丈夫! できるはずだ……! しっかり出来上がりをイメージして……)
――錬成魔法――
積み上げられた丸太が光に包まれる。
『ガガガ』
丸太が橋に姿を変える。
「す、すごい……信じられんのじゃ」
「これがペルーサくんの魔力なのね」
「ふう……こんなもんですかね?」
渡り切れないほどの大きな川に立派な橋が架かっている。錬成魔法は成功したようだ。
「すごいぞペルーサ!」
「いえいえ、そんな」
オリビアに褒められ照れるペルーサ。
「すごい! すごい! 助かったぞ! これで私たちは食べ物に困らないぞ!」
「よかった。もう畑を荒らしちゃだめだよ?」
「ああ! 約束じゃ!」
「お疲れ様ペルーサくん、レベル100って感じの素晴らしい魔法よ」
村を救うとことができてホッとするパーティ。
◇
「3人とも感謝するぞ」
喜ぶアコン。こうしてみると可愛い少女だ。
「決めたぞ!」
「ん?」
「私も山の姫としてお前たちの旅について行ってやろう! 恩返しじゃ!」
「えぇーー!?」
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