第2話 不思議な彼女
っと、言っても。
教室で僕は昨日買ったラノベを読みながら昨日のことを思い返す。
今まで女の子と関わりなんてない人生。急にラブコメイベントが起きたって困る。
神様は今日も理不尽だった。
きっと僕の人生を駒にして人生ゲームをしているに違いない。というか、夢に違いない。英語だったらmustで夢だ。
「お、おはよー、鈴木君」
てか、アニメ見る女なんて今時いっぱいいるよな。
きっとほんのちょっとかじっているだけで、オタクなわけじゃないんだろう。
「す、鈴木君・・?」
でも、二次元イケメン好きな女オタクもいっぱいいるか。
夢女子、腐女子、最近はオタクが増えてきていい時代になったものだ。
「ちょっと、鈴木!桜が呼んでるじゃん。なにぼーっとしてるの!」
バコっ
「痛っ!?」
別に特別痛いわけではないが、くせだろうか。そんな情けない声を出してしまう。
教科書で叩いてきた犯人は右隣の小鳥遊陽向。
入学時から見てきたが、ほんとにイケメンだ。女子ともよくつるんでるし、さぞかしモテるのだろう。
うらやましい。
「ちょっ!?陽向ちゃん、気持ちは嬉しいけどいいってばあー。」
鈴木さんはむすっと頬を膨らまして小鳥遊を責める。
「まて、陽向『ちゃん』?」
「ん?なにかな、鈴木君?」
小鳥遊はこてりと首をかしげると僕を見つめてくる。
「女だったんだ・・・」
「「今更!?」」
鈴木さんと小鳥遊は驚いた顔をしてこちらを見てくる。そんなに驚くことでもないと思うのだが。
「え、鈴木君って一年半も陽向ちゃんが男だと思っていたってこと?」
僕が頷くと、二人はプッと噴き出した。
「もう、ひどいなあ。私はこんなにも美少女だというのに。」
小鳥遊はドヤ顔でそんなことを言う。頭でも打ったのだろうか、豆腐の角に。
「てか、なぜにズボン?」
小鳥遊を男だと思っていた主な原因はこれだ。
「え、トランクスだよ?女子はスカートとトランクスから選べるんだよ。」
小鳥遊は、常識でしょ?といった顔をして言った。
「てか、それ言ったら、うちの学校ブレザーだから、ネクタイとリボンも選べるし。だから私はネクタイだよー。似合う?」
小鳥遊はニヤニヤしながら僕を見てきた。
「ああ、男だと勘違いしたぐらいだからな。」
「可愛いか聞いたのになー。あ!桜はスカートにリボンだよ?可愛いでしょー。」
小鳥遊はそういうと、鈴木さんを僕の方に押した。鈴木さんは、そのせいで一歩ぶん僕の近くに来た。
「え、ひ、日向ちゃん!?」
鈴木さんはワタワタと慌てながらも、僕の方を気にした素振りを見せる。
え、これって僕が制服の感想を言わなきゃダメなパターン?
オタクの僕にそんなことできるわけないじゃないか!
ええと、鈴木さんはピンクのラインのチェックのプリーツスカートに、同じ柄のリボンをつけている。
しっかり第一ボタンまで締めてあり、きっと真面目な子なんだなと、いい印象を受けるな。
薄い桃色のカーディガンも似合っている。
流石清楚系。三次元にもこんな子が居たなんて!っと、そんなことを考えている場合じゃない。
こういう時は、思ったことを素直に褒めればいいんだって、この前見たアニメで言ってた気がする!
「…二次元の女子高生みたいだと思うけど…?」
よし、ミスった。
最高にキモいな、僕。なんだよ二次元って。そんな褒め方で喜ぶ女子がいるわけ…
「え、ほ、本当!?嬉しい…。」
いた。
「え、桜はそれでいいんだ…。」
思わず小鳥遊もドン引きじゃないか。
これが普通の反応だと思うのだが。鈴木さんはどこか不思議な子だな。
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