第30話 ショウ、ナエナエ、兄妹バレする
「お兄ちゃん! おそーい! もおおぉ、心配したんだからねっ!」
警察署でショウと別れて、家に帰宅したのは夜10時過ぎだった。
「わりぃ、ホントに遅くなった。いろいろあってさ」
「いったい何があったの? ねえ。如月ななえさんが関係してるんでしょ!?」
「おま、なんでそれをっ!?」
「だって、ほら」
みなみはテレビを指さした。リビングにあるテレビには、ニュース番組が映っていた。
『女性のマンションに侵入した容疑者を逮捕!』
「マジかよ! テレビで流れてたのか」
ニュース番組のアナウンサーがこう伝えていた。
『女性のマンションに侵入し暴行をはたらこうとした男は、現場に到着した警察官によって逮捕されたということです。警察が到着した時には、女性の友人もその場にいたとのことです』
「これ、お兄ちゃんでしょ?」
「なんでわかったんだよ? おれは取材なんか受けてないぞ」
「お兄ちゃんの情報は載ってないけど、被害者の如月ななえの方はネットで名前出ちゃってるから、大騒ぎになってるよ」
スマホを操作してSNSを開いた。
『モデルの如月ななえのマンションに侵入した容疑者がヤバい』
『如月ななえと如月紫陽が兄妹ってマジ?』
『如月ななえ宅侵入事件の経緯、まとめ』
SNSにはもう情報が出回り、まとめ記事まで作成されていた。
「おいおい、マジかよ」
ななえが、ショウと兄妹だってことまで思いっきり出てしまっている。
その記事の中で、犯人を確保した男子高校生の情報はまだ集まってないらしく、年齢くらいしか書かれていなかった。
この少年はおそらく一般人であると思われる。などと書いてあった。そうだと思うならそっとしといてくれ。身勝手な記事。
「お兄ちゃん、全部説明して! 今日いったい何があったの!? ホンットに心配したんだからね!」
「わかったわかった。全部話すよ」
おれは、今日あったことの経緯をみなみに説明した。
「もおぉ! そんな危ないことするなんて! なにかあったらどうするの! お兄ちゃんになにかあったら、わたし生きていけないんだから!」
「そんな大げさな……」
「そもそも如月ななえって女の人の家にどうして行ったの? そこを説明してもらいますからね!」
「いや、え〜っと隣の席になって喋ってるうちに、仲良くなっちゃってさ。んーっと……」
「むううぅぅ!」
みなみの顔がだんだんと赤くなり、ほっぺがふくらんでいく。マズいな……。
「いっしょにゲームしよーぜってことになって、ななえのマンションに行くことになったんだよ」
「ななえって言った! 今、ななえって言ったよね! 下の名前で呼んでるの!
なんで!」
「いや……なんでって、向こうも下の名前で呼んでくるから……」
「むううぅ! お兄ちゃんもゆうだいって呼ばれてるの!? もうそれ彼氏彼女じゃん! まさか付き合ってるの!?」
「付き合ってない付き合ってない!」
予想していた通りの流れになってしまい、おれは必死に拒否した。付き合ってはいないが、隣の席のクラスメイト以上の関係というのが正直なところだ。
「ホントにホント!? ねえ! どうして今まで黙ってたの!」
「黙ってたわけじゃなくてさ。ほら、向こうもインフルエンサーだったりして、あんまりべらべら喋るのもよくないかなって。そうだ! ななえの兄貴がさ、ジョニーズのアイドルなんだよ」
ネット記事でも出てしまっていることなので、これはもう打ち明けてもいいことだろう。なんとかみなみの興味をズラすことができればいいのだが。
「え、じゃあ、この記事に書いてあるのホントなの? 如月紫陽と実の兄妹だってこと」
「そうそう。そうなんだよ。しかも双子。間近で見たけど、かなりイケメン」
「へぇ〜、すごいね。でもわたし別に興味ないや。それよりお兄ちゃんがどうして如月ななえの家に行くことになったかのほうが知りたいな」
「また今度ちゃんと話すから、な? 今は疲れてるから寝かせてくれ」
「うん、わかった。絶対だからね! あと如月ななえの家に行く時はわたしに連絡してよ?」
なぜだ、と思ったが口には出さなかった。
「ななえのマンションの壁、ぶっ壊しちゃって住めなくなったからさ。たぶんしばらく実家に住むんじゃないかなって思ってる。だから遊びにいくことは当分ないよ」
ななえも事件のショックがあるだろうし安静にしたいだろう。これだけ世間に騒がれてしまっては、しばらく身を潜めたくなるんじゃないだろうか。
LIMEにも連絡がないことから失敗だったが、おそらく明日は学校にこないだろうな。
『ななえ、大丈夫? 落ち着いたら連絡ほしい』
警察署からの帰り道にななえにこうLIMEしたが、結局その夜は返信がなかったし既読もつかなかった。
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あとがき
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