第7話 偽悪者は確認する
なんというか凄かった。リーリスに食事をさせたあとお湯で身体を拭いたのだが、胸のサイズがもの凄かった。思わず仰視したら顔を真っ赤にして睨まれた。何より凄いのはこのサイズでしっかり重力に逆らっていることだろう。獣人だから筋肉が人間とは違うのだろうか。
リーリスを拭き終わったあとひと悶着があった。ベッドに寝るように言ったら拒否して床に寝ると譲らなかったのだ。奴隷だからうんぬんでなく俺もべッドで寝ると言ってあったのでどうやらそういうことをすると勘違いしたらしい。俺が床で寝ればすむことなのだうが、断じて床でなど寝たくない。せっかくベッドがあるのだからリーリスが嫌がろうが一緒に寝てもらう。最終的にはリーリスを抱えて無理矢理ベッドに寝かせた。疲れていたのだろう。俺が身体を拭いているあいだにリーリスは寝息をたてていた。ベッドに座ってあらためてリーリスの顔をみる。痛々しいこの傷があってなおリーリスは美しかった。こんな子が、いやこんな子だからこそ奴隷になってしまうような世界。強くなければ、強くならなければ何もかもを奪われるだろう。
久しぶりにステータス画面を呼び出す。スキルの詳細を調べるためだ。
異世界人 異世界よりきた者。経験値取得値が少しあがる。
偽悪者 悪を志しながらも善に傾く者。己が悪と判断した行動をとる時、ステータス上方補正。
自己犠牲1 自分が得られる経験値を減らすことで隷属下の仲間の経験値取得値を上方補正。
剣術1 剣術の技能に上方補正。
称号の???はあい変わらず謎だ。説明文もでない。剣術は新しくついたスキルか。あの女神に頼らずともスキルが手に入るのを確認できたのは幸いだ。偽悪者も思うところはあるが有用であればいい。善か悪かなんて今の俺にはなんの価値もない。自己犠牲スキルはほんとに忌々しい。このスキルは常時発動型らしく、止めることは出来ないらしい。しかも奴隷がいない場合、経験値は捨てられるみたいだ。このスキルがある限り俺は強くなれない。いや、悲観しなくていい。俺が強くなれないなら奴隷を強くすればいいのだ。ふふっと思わず笑ってしまう。なんて卑劣な奴なのだろうか。
だが、それがどうしたというのか。だからなんだというのか。
俺は生きたいように生きる。
それだけだ。
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