第19話 荒れた中学

 明日は中学校の入学式だった。


私は成長が早く、母をとっくに追い越して背は165cmになっていた。

制服を仕立ててもらうのも大変と母は嘆いていた。


母は以前に住んでいた左隣の姉妹の母親の影響を受け、私を私立中学に入れたかったが、和夫の反対と私の成績が中の中なので仕方なく諦めた。


やはり、式には和夫は出席せず母だけだった。


校舎の悪戯書きや、遠くで煙草を吸っている生徒を見て隣のおばさんの言った通りの荒れている学校だと分かった。これは以外な魔気も取れそうだ。


次の日、教室で担任の紹介も終わり、休み時間になった時、廊下が2,3年の男子生徒で溢れていて教室を覗いてきた。


私は目立たないようにしていたが、この背の高さと可愛さは入学前から学校に知れ渡っていた。これは面倒なことになるな、と思った時、5人の女生徒達が

教室に入って来た。


「あれは2年の女子で清闘連の5人だ」と声がして、男子生徒の半分はその場から去った。同級生達はこの洗礼にビビっていた。


5人共に髪を赤く染めていて、その内のリーダー格が大声で話した。


「新入生は私達2年の清闘連が仕切ることになったから宜しく!」


「仕切るって、どういう事ですか?」真面目そうな眼鏡を掛けた同級の男子生徒

が聞いた。


「目立たなく、大人しくしていろと言う事! 分かる? それからこのクラスに○○琢魔と言う子いる?」


やはり私か? 面倒臭いな、仕方が無い。


「私が琢魔です」と立ち上がると、廊下に居た男子より「おおー」と感嘆の声

が聞こえた。


リーダー格は自分より10cmも高く可愛い私に一瞬たじろいだが「お前は目立ち過ぎている。ちょっと焼きを入れてやるから来い」と言われて、

私は校舎の裏に付いていった。


5人の後には誰も見えないからトスポ達はからんでいないようだ。


リーダー格が「痛い目にあわせてやりな!」と言うと4人が掛かって来た。


欲は余り無いようだ、妬みとか、やらないと怖いとかの悲壮感はある。


シカーナの範ちゅうだが呼んでも魔気が小さい。それよりもこの方が早いと4人の手を取り倒した。


案の定、激怒したリーダーが向かって来た。よし今だと怒りと少しの凶暴度を取った。リーダー格は呆然としてその場に立ち竦んでいた。


廻りに手下がどうしたの? と縋っていた。


清闘連の5人組が手玉に取られたことは学校中に知れ渡った。



 「ゼノン様、魔気センサーが一万以上のライフに反応しました。トスポとシップとマイナで3人合わせて三万以上のライフがあるようです。それにブラックキシンが大分前に一万収集したらしいですが、センサーに反応しません」と紫髪の小神は

報告した。


「何がセンサーに反応しない?」


「ブラックキシン本人です。ライフは運び屋がライオキシンに届けたらしいです」


「魔気に反応しないのは素にされたのか? 一体誰が? 仲間割れか?」


「ブラックキシンは一人で行動するので仲間割れは無いと思います。素にされたと思いますが原因は分かりません」


「そうか、ブラックキシンが素になるのは良い事だが、もうすぐ三万もライオキシンに届いて四万になり、魔の国から出てきそうだな? 残り一万か? そろそろ調査隊を派遣するか?」

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