第13話 飲み屋での抗争
弟の意識に繋げた。
兄貴分達の食べた出前の器を片付け事務所の入口に出していた。
弟はラーメンを食べたらしい。
魔人シップの家来の数が増えている。
事務所の電話が鳴ったので弟が受話器を取り、小頭に「○○店のママさんからです」と渡した。
変な客が4人いて他の客に嫌がらせをしているとの話だった。
急遽もう1人を呼びだし4人で向かうことになった。
弟は怖くて仕方なかった。
サバイバルナイフを持たされたので、腰のベルトに差し乗用車の後部座席に乗って出掛けた。
街の歓楽街に着き駐車場に車を止めて、飲み屋のドアを開けた。
やはり入口の席に4人組が陣取っていて、入って来る客を睨み追い返していた。
明らかに営業妨害だ。あれ、4人は隣の部屋の男達だ! やはりその筋の人間か?
弟の兄貴分の上役の小頭が四人組に話しかけた。
「お客さん、奥が開いているので、すいませんが奥に移って頂けませんか?」
「嫌だね、此処が良い」とリーダー格の男は断わった。
「なにぃー」と兄貴分たちは凄んだ。
「此処で怖い顔をして座っていられると客が逃げる、営業妨害になる、帰って貰うしかないな」と小頭は少し言葉を荒げた。
「営業妨害? 帰れ? お客に対してその口のきき方はなんだ!」威嚇してきた。
「貴方方は○○商事の手先だろう? 此処では迷惑が掛かる、其処の駐車場で話をしよう」
「分かった」
弟が先に店から出て小頭らが背を向けて出ようとした処、後ろから襲われ乱闘になり、小頭ともう一人は刺されて死んだ。
兄貴分は殴られ気絶した。
弟は髪の毛を掴まれた。
「何だ、小便臭いガキじゃないか、○○会も焼きが廻ったなあ」と子分の男は殴ろうとしたが「グエー」と呻き弟を離し倒れた。
弟はそのまま後ろを向いて逃げて行った。
男の腹にサバイバルナイフが刺さっていた。
魔人シップの家来は3人のライフを持って消えた。
リーダー格の男の後ろに誰かいた? 薄い影が見えた。
魔女のマイナか? 彼女が操っていたのか?
弟は事務所に必死に走り戻っていた。
丁度、若頭がいたので状況を説明した。
若頭は今から行っても警察がいる。明日には警察が来るだろう。
その時の警察次第で対応しようと話し、弟には事務所に泊るように言った。
そこで私は意識を切った。
朝、テレビのニュースで、この町の飲み屋で暴力団同士の抗争があり3人が亡くなったと報じていた。
お姉ちゃんと登校していると、巣窟の前は警察の車や報道の車が止まり、報道記者とカメラマンでごった返していた。
お姉ちゃんに手を引かれ反対側の歩道を歩いた。
弟の意識が伝わって来た。
若頭と刑事が話していて、弟も緊張して側にいた。
「お宅の組員同士が仲間割れして、○○が小頭ともう1人の組員を刺した。偶々そこにいた関西から来た男が止めに入り刺されたと店の人達は話した」
弟は「えー、それは違います。実は」と言った時。
「お前は黙っていろ!」若頭に制止させられた。
「○○は小頭を尊敬していて、そんな事あり得ない」と若頭は否定した。
「我々が現場に着いた時、サバイバルナイフを持った○○が呆然を立っていた」
「○○は自供したのですか?」
「本人も記憶がない、やってしまったかもしれないと言っている。覚醒剤の検査をしたが陽性だったのでその所為かも知れない」
「えー うちは薬など扱っていませんが?」
「薬は管轄が違う、あとで捜査に来るだろう。そして関西の男も暴力団の組員だった。一般市民に被害が無いから、この事件はこれで幕を引きたいと思う、が関西の男が○○商事と関わりがあり、抗争が起きそうなので自重するように」と話し刑事達は引き揚げた。
若頭は弟が逮捕され人員が減るのを恐れて弟の証言を制止した。
私は飲み屋にいた人達も魔女のマイナに操られたと思った。
隣の部屋にいた時はマイナの気配もシップの家来も見えなかった。
何処で修羅場の情報を得たのか?
○○商事を探る必要があるな、でも何処にあるのか分からない。
おっと、何故こんな事に介入しているのだ? 早く復活して魔の国に戻るのだ!
でも他にすることも無いし、良い魔気を取れるかも?
「琢魔ちゃん、何ぼんやりしているの」お姉ちゃんに手を引かれ意識が戻った。
夕方に和夫から今日は会社に泊るから帰らないと連絡があった。
やはりビビっていた。
夜遅く隣の男達は帰って来た。
意識を飛ばせば男を操っているマイナに気が付かれる。
私の宿主の存在を公園で気が付いているから隣だと分かってしまう。
前に公園で娘から手を引いて貰った恩もあると色々迷ったが飛ばした。
「やはり、オルゴン様でしたか? 何か御用ですか?」
「いや、そこに高いレベルの凶暴度と欲を感じたので意識を送った」
「オルゴン様でも、今この男達の凶暴度と欲を渡す訳にはいきません。計画が済むまで待って下さい」
「計画とは? 前に聞いた。ライオキシンの復活の為か?」
「そうです」
「で、どんな計画だ?」
「それは教える訳にはいきません」
「なぜだ? ライオキシンと私が仲の悪いからか?」
「いいえ、計画の途中で凶暴度と欲を抜かれると不味いからです。それに前にもこのアパート近くの公園で会いましたね。宿主さんの事も考えた方が宜しいと思います」やはり、脅してきたか?
「分かった、様子を見るだけにしよう。あーそうだ、公園で狙った娘はまだ狙っているのか?」
「狙っていましたが、今は諦めました」
「如何して?」
「彼女は就職先が決まると、付き合っていた彼氏と男女の関係になった。それでライフ100に落ちた。そこまでは良かったが、高校を卒業して就職をした時から彼は彼女から離れていった。それは両親に彼女の事を話して家庭環境で反対された。厳格な家庭で反対は当然だった。彼は親を選んだ。そして、彼女は寂しさから就職先の若い社員と関係を持ってしまった。それでライフが普通になったからです」
「良い子だったのに残念だ、人間は成長するごとに欲が増えて行く、
仕方が無いか?」
「オルゴン様が良い子なんて魔王らしくありませんね?」言われて気が付いた。
人間の世界にいて感化されてきている。意識を弟に切り替えよう。
「○○ちゃん、昨日は帰って来なかったけど何処に泊ったの?」
「事務所に」
「泊るなら連絡しなさいよ」
「分かった」
「そういえば、昨日○○会の人が事件を起こしたとニュースがあったけど、あんた関係ないでしょうね?」
「ないよ、俺は下っ端だから」
「下っ端だから、辞めなさいよ。あんたが原因でお姉ちゃんも彼氏と
別れたのだから」
「あんな糞真面目な彼氏と長く続かないと思った。姉ちゃんは?」
「会社の人と食事をしてくるらしい」
「もう、新しい彼氏も出来て姉ちゃんも変わり身が早いね。姉ちゃんには今の方が良かったかも?」
「何、勝手な事を言っているの」
何も情報も無いか? 明日にしよう。
次の日の朝、事務所では会長と若頭がソファーに座って話し合っていて、
側に弟が立っていた。
「飲み屋での件で凶暴さが際立っていたので関西方面から情報を仕入れました」と若頭は写真を4枚テーブルに置いた。
「この4人で間違いはないか?」と弟に聞いた。
弟は写真を暫く見て「この4人です」と答えた。
「そうか、この4人は関西方面の組員で全員破門されています」
「何故、破門された?」
「凶暴で手に負えなかったようです。特にリーダー格の男は凶暴で堅気に手を出し警察沙汰になり、組が手を焼き破門したそうです」
「○○商事は先代の時には大人しい組だったのに、そんな輩を何故入れたのか?」
「そこなんですが、先代が亡くなった時には組員は誰もいなく、看板は降した。でも訳の分からない奴が跡目を継いだと聞いていました。そいつが奴らを雇ったようです」
「このまま泣き寝入りする訳にはいかない、仕返しの方法を考えよう。処で○○商事は何処にある? 今まで気にもしていなかったので場所も分からない」
「○○公園の南側の川沿いあります。広い敷地で和風の立派な建物で門に大きい松の木があるので直ぐ分かります」
これで○○商事の位置が分かった。そうだ、公園から意識を飛ばそう。
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