懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

古朗伍

序章 おにいちゃん→お前

第1話 三年ぶりに再会した彼女は口が悪い

 カンカンとアパートの階段を上がる。

 三年間の海外転勤から戻って出社一日目の帰り。

 新入社員の頃には毎日聞いていたその音に懐かしさを感じながら鳳健吾おおとりけんごは二階の一番奥の部屋へ向かった。


「ん? よう」


 すると、知った顔が隣室へ入ろうとしている場面に遭遇する。


「なんだ。帰って来てたんだ」


 ショートボブの髪に同年代にしては強調の激しい胸部。そして、ツンとした視線を送る彼女は隣室に住む鮫島凛香さめじまりんかである。

 三年前は何かと後ろを着いて回っていた人懐っこい印象があったが、女子高生になってから更に異性が目を引く美少女になっていた。


「お前は元気そうだな」


 昔のノリで頭を撫でようとしたら、驚いた様に手で弾かれた。


「今はそう言うのは犯罪だから。知ってた?」


 転勤先のアメリカではハグなんかは挨拶で異性との境は日本ほどに厳しくない。

 軽率な行動ではあったと反省するも、なんか少しだけ棘を感じる。


「後、夜に壁越しに音が漏れてうるさいんだけど。○コるなら止めてくれる?」

「映画! 映画だから! 向こうじゃ吹替版なんて殆んど無いからそれ見てんの!」


 て言うか年頃の女子高校生がシ○るとか言うなよ。

 でも危なかった。自家発電する時はイヤホンをつけよう。


「何かあったら通報するからな」


 そう言ってリンカは隣室へ入って行った。


「……三年ぶりの初っぱながこれか。反抗期は怖ぇな」


 女子高生と言う日本で最も護られている存在には爆発物と同じように扱わなくてはと思うのだった。

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