ある兄弟の話(B)


「奏太のやつ、むかつく」

 痒みを増す喧嘩の傷に触れたくて、右手がうずうずする。兄貴に「かくなよ」と止められた。

「許せないか?」

「……謝ってくるとかズルい」

 自分も悪い自覚があり、気まずい。でも謝るのも気が進まないのだ。

瘡蓋かさぶただな、今のお前ら。なら綺麗に治るチャンスはあるぞ」




【お題:瘡蓋】

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