青と春色の絵

初鳥 火苗

第1話 スケッチブック

 俺は……どうしてここに来た?


 明かりもつけられていない暗い部屋。


 そして、いまは誰もいない静かな部屋。



 何かがわかると思って来たのか、それとも何かを取りに来たのか……わからない。


 ただ、このどうしようもない衝動に身を任せたら、いつの間にかここにいた。


 こんな事をしている場合じゃない。

 一刻も早く『戻る』べきだ。

 少しでも近くにいるべきなんだ。


 そう頭でわかっている。


 でも、ここに来た。


 ここで、あるモノを見つけるために。


 俺は棚に置いてあった彼女の『スケッチブック』に手を伸ばす。


 そして震える手を何とか押さえ込み、ページを巡った。

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