愛斗が帰ったあと。

店内にいたお客様も全て退店し、店にいるのはオレと舞子だけとなった。

「ねえ祐」

食器類の片付けをしながらオレに呼びかける舞子。オレはカウンターに座ってコーヒーを飲む手を休めて舞子を見る。

「どうしたの？舞子」

「あなた、愛斗さんのこと気になっているの？」

思わず吹き出す。コーヒーが口の中に無くて良かった…

「な、何言ってんのさ、舞子。んなわけないじゃん」

「嘘。愛斗さんが頬を膨らませた時にキュンとしたでしょ。耳が紅潮するから分かりやすいのよ」

慌てて耳を触るオレ。それはまだ熱を帯びていた。

「マジか…、怒ってる？」

「別に怒ってないけど…ちょっとジェラシー感じちゃったかな」

「そっか、ならお詫びしないとな」

オレはそう言ってキッチンの方へと向かっていった。

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