27 川向こう
現実世界に戻ってくる。
時間は15時ぐらいだった。
6倍速だから、ゲーム内の昼間12時間が現実時間で2時間ぐらいなのだ。
「お兄ちゃーん」
「ワイちゃん、ただいま」
「あ、うん。おかえり」
お互いリアルへの帰還の挨拶をする。
「それじゃあ、おやつにしようか」
「うん、お兄ちゃん何あったっけ?」
「えっと、今日はじゃあ、クッキーがあったかな、
「いいの、いいの、おかまいなしで」
「そう? じゃあクッキーにするね」
クッキーと冷蔵庫に入れてある冷茶を出す。
「いただきます」
「「いただきます」」
なんか女の子とお茶会とか、緊張するな。
それも美少女の沙理ちゃんと一緒とか。
クッキーといっても市販の量産品だ。
「んっ、チョコチップおいしいね」
「うん」
クッキーにはチョコが散りばめられている。
多すぎず少なすぎず、ちょうどいい具合に甘味があっておいしい。
リアルでは食べると太ってしまうけど、甘いものは捨てがたい。
さすがに笑顔で幸せそうに食べてる女の子に「食べると太る」とか口が裂けても言えないけど。
まだ殺されたくない。
妹と沙理ちゃんの会話が長い。
テレビを見つつ、おしゃべりしていたら、あっという間に2時間が経過、またログインする時間になった。
「じゃあお兄ちゃんまた向こうで」
「ワイちゃん、よろしく」
「うん、では、ログインしようか」
部屋の前で別れて、自分のベッドでログインする。
現実2時間経過で、だいたい朝になる。
噴水広場は朝日がきれいだ。
水に光が反射して、キラキラしている。
空気もなんだか澄んでいて、現実との違いを感じる。
もっともこっちの世界はアニメ調なんだけど。
ぶーん。
「やあ、ワイちゃん、おはよう」
先にリズちゃんがログインしてきた。
「それじゃあ、ぎゅってしよう」
ぎゅう。
おっぱいが圧倒的に柔らかい。
その気持ちよさは、忘れられない。
なんだかくらくらするいい匂いもする。
「ぷはぁ」
リズちゃんが満足して離れていく。
ワイ分を補給しているのは彼女のほうだけど、なんだか僕もリズ分を補給している気がしてくる。
ぶーん。
今度は青髪のロリドワーフが転送されてくる。
妹のアルテミス、アルテだ。
「お兄ちゃん、相変わらずかわいい!」
「ちょっ」
「違った、お姉ちゃんだったあ」
頭をぐりぐり押し付けてくる。
妹に胸はない。
まあこういうのも可愛いといえば可愛い。
「よしっ。でははーい。森へ出発したいと思います」
「「はーい」」
リズちゃんの司会で進む。
「ワープしよう、ミランダ橋ね」
「はーい」
「はいにゃん」
僕たちはまたワープポータルを利用する。
マップの天空飛行を経由して、ミランダ橋に出現する。
「あ、先にまず1つめね。妹ちゃん、フレンドリスト登録してないよね」
「あ、うんにゃ」
「登録しましょ」
ということで僕とリズちゃんは、妹[アルテミス]とフレンドになった。
「改めて、よろしくお願いしますにゃん」
「はいはい、よろ」
「はい、よろしくね」
石橋で川を渡ったら、こちらも平原なのだけど、ちょっと様子が違う。
道はそのまま平原の向こうで森に入っていく。
道沿いに進んでいくけど、敵も少ないものの道にいる。
「まずはナメクジなのね」
「そうにゃんね」
「うおお」
敵は『ラージスラッグLv12』。
ラージは大きい、スラッグはナメクジ。
妙に黄色いナメクジが気持ち悪い。
でかい。人間ぐらいの大きさがある。
そのナメクジがたくさん、ばらばらに平原にいる。
「うおおおお」
僕は気合を入れて、ナメクジを攻撃する。
「はいはい、ファイア!」
リズちゃんも加勢してくれる。
「ひやあああああ、くそおおお、にゃあああ」
妹も決死の覚悟で、ナメクジに攻撃を加える。
あーそういえば妹はナメクジだめなんだっけ。
ナメクジの反撃。
ナメクジにはリアルのものにはない触手がついていて、それをムチのように使って攻撃。
「ぴきゅぅ」
ミミちゃんにヒット。ミミちゃんは一発退場だった。
有料の即ペット復活剤とかも持っていないので、30分のペナルティだ。
ナメクジに攻撃、そして反撃される。
寄りにもよって、今度は妹がタゲられて、触手がヒット。
「ひやああああ、やだああ」
もう絶叫だ。可哀想に。
反撃すること3回、何とか倒すことができた。
それからナメクジと戦闘すること5匹。
最後のナメクジはまた妹をタゲって触手に捕まれてしまう。
「やああ、ねばねばするう、うぅぅう、にゃああ」
触手にはナメクジ粘液が出ており、なんかねばねばして妹をす巻きにしている。
「お兄ちゃん、早くやっつけてえええ、キモいにゃああ」
「おお、待ってろ、ファイア!」
俺もファイアを使って攻撃、さらに剣で追撃する。
はあはあ、なんとかやっつけられた。
「あ、レアドロップ」
ドロップ『ラージスラッグのカード』。
ナメクジが消えて、妹も拘束から解放される。
「もう、ナメクジ大嫌いにゃあああ。いやあああああ」
妹は泣きが入っている。
「わ、わかったわ、無視して進みましょ」
「あ、うん……」
「にゃぁ」
ナメクジだけに動きは遅い。
だから、相手をせず、横を通って進んでも問題なかった、らしい。
なら最初から無視して進めばよかったのでは、と思わなくもない。
ただし戦闘してみないと相性とかはわからないので、何とも言えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます