第60話 収入源
「マスター。火の騎士ポッポゥ、不死鳥の如く蘇ってまいりました」
三日ほどして、ポッポゥが意識を取り戻す。
無事ランクアップの負荷を終えたその顔は、どこか誇らしげだ。
「病み上がりみたいなもんだし、しばらく休んでいてくれても構わないよ」
「いえ。あれしきの苦痛、私には何ら影響はありません」
痛すぎて殺せ殺せ言ってた訳だが……
まあ突っ込むのは野暮だからしないけど。
「これで我ら精霊が勢ぞろいですな」
精霊には、火水風土の4属性しかいないらしい。
雷は風の範疇で、光や闇は神の領域なんだそうだ。
「人数が増えればその分、カッパーの仕事が減るんで万々歳です」
カッパーが精霊が増えれば仕事が減ると喜ぶ。
彼女には適度な領地内の降雨や、屋敷の結界に温度調整。
新しく作る町への水源の作成と維持。
それに精霊草の育成にも尽力して貰っているので、案外担当している仕事は多かったりする。
「うむ。護衛の仕事は私に任せて貰おう。それ以外は引き続き頼んだぞ」
「え?それだとカッパーの仕事は一ミリも減らないんですけど?」
「マスターをお守りするため、私は騎士としての仕事に集中せねばならん。なに、そちらは大船に乗ったつもりで任せてくれ」
「えぇー」
どうやらポッポゥは、騎士以外の仕事をする気がない様だ。
ぶっちゃけ、俺の護衛はそれほど必要ないんので、騎士ごっこせずに精霊として力を振るってくれた方がありがたいのだが……
「それは困ります。確かにマイロードの護衛は全てに優先される事ではありますが、貴方には精霊草の育成の手助けをして頂かないと。貴方の力があれば、育成速度は倍加しますから。絶対に手伝って頂きます」
「む、マスター……それはそれ程重要な事なのでしょうか?」
ジャガリックに他の仕事を手伝えと言われたポッポゥが、俺に尋ねてきた。
「まあ、超が付くレベルで重要かな」
貴重な貴重な資金源だからな……
俺は基本、村から税を取らない予定だった――ある程度仕事自体はしてもらうが。
今まで酷かったのだから、これからは彼らには少しでも豊かな生活を送って貰いたいいたいからだ。
そして新しく作る町の税金も、数年はかなり低く抑える予定になっている――ジャガリックの案。
少しでも住民集めをスムーズに進める為に。
なので、男爵領はしばらく超低収入状態が続く事になる。
で、だ。
それを何とかするのが、精霊草関連の商品という訳だ。
その効果を考えれば、作地面積がそれほど大きくなくとも、相当な収入が期待できるからな。
つまり、精霊草は我が男爵家最大の収入源という訳である。
それが倍加するなら、なんなら騎士としての護衛なんか一切しなくていいから、畑に集中して貰いたいぐらいだ。
別に稼がなくても、オルブス商会やケイネスからの資金があるんじゃ?
まあ確かに結構な額ではあったが、無限ではないし、そもそも使い切ってしまうのは論外だからな。
収入は多ければ多い程いいに決まってる。
「むう。マスターがそう言われるのでしたら、仕方がありませんね。その精霊草に関してだけは力を使いましょう」
「頼むよ」
不服そうだが、こっちは万単位でランクアップにポイントを使っているのだ。
騎士業しかしないなら大損もいい所である。
彼女にもきっちり働いて貰わんとな。
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