第4話 天使に伝わる僕の気持ち


既にももはそこにいた。

いつもみたいに可愛らしく、明るい雰囲気をまとって席に座っている。

あの子こそが、僕の天使…!

 「猫さん!久しぶり…。」

少し笑いながら、ももは僕に言った。

「今日は、猫さんから話があるって聞いてたから、楽しみにしてたんだっ!」

 僕は大きく息を吸い込んだ。

「あのっ!もも、僕と、その、一緒に、暮らさない…?」

 僕はあれからよく考えた。

 僕がどうすればももの支えになれるのか、死なないでいてくれるのか。

 先のことは考えていなかった。

ただのしがない大学生の僕に、ももを養う力なんかない。

ももを養ったら、貧乏暮らしになるかもしれない。

それでも僕は、どうしてもももの傍にいたかった。

大学を辞める覚悟だって出来ている。

ももの為なら、僕はどうなっても良い。

恋多き僕でも、ここまで相手のことを考えたことはなかった。

 「でも、それって、猫さんの人生をわたしが独占することになっちゃわないかな…?」

 予想外だった。

ももは、ただ誰かに寄りかかって生きられればいいんだと思っていた。

 僕は、何て愚かなんだろうか。

もものことを何も分かっていなかった。

「た、確かに…それは、そう、かもしれない…。」

「じ、じゃあ、どうすればももは死なないでくれる…?」

「うーん…分からない…。」

「でも、わたし、今は猫さんと一緒にいたいな…。」

 思わず、顔が綻んだ。

 僕は、ももにやっと連絡先を訊いた。

 「これで、好きな時に会えるね…!」

もものとびきりの笑顔に、僕は大きく頷いた。


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