きまぐれネトゲ回顧録

高山しゅん

はじめに

 「ネトゲ」という言葉も、最近ではあまり聞かなくなりました。

 かつては主にMMORPGを指していたこの言葉ですが、スマートフォン向けゲームの市場が大きく広がった昨今では、ほとんど使われなくなってきているのではないでしょうか。

 違和感なくこの言葉を使っていた時代、そういったゲームのほんの一端に触れていた僕の、ささやかな思い出を書き連ねてみようというのが本作のコンセプトです。


 さて。


 人間は、最初にハマったネトゲを親だと思い込み、巣立った後もその後ろ姿を追いかけ続ける生き物であるという説があります。

 もうネトゲはいいや……と思って辞めた後も、何年か過ぎた後、ふらりと何かに引き寄せられるように新作のネトゲを始めてしまう。

 そんな経験はありませんか。

 僕はありまくります。

 それは、二度と戻らない青春を追いかける行為に似ています。

 あの時の、あの時間。

 顔も知らない相手との文字だけの交流。

 あるいは顔見知り同士のボイスチャット。

 もしくは、他者との交流すらない、その世界そのものとの対話のみであっても。

 そこには確かに、青春に似た何かがありました。

 二度と手に入らないあの夢のような時間を追い求めて、また僕はネトゲに手を出すのでしょう。


 滑稽と笑うもよし。

 どこか一部分でも共感してくれたらそれもよし。

 少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。

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