塩カノ ~強面男と虚弱体質女子のやんごとなき部署内恋愛~

宇月朋花

第1話 Love Affirmation 面倒な女

志堂本社の情報処理システム全般を担う、システム室。


バグやシステムエラーは勿論、ちょっとしたパスワードロックやパソコンのアップデートやらソフトの更新までを管理、サポートする部署だ。


追加購入申請の通った営業部向けノートパソコンとタブレット端末の初期設定を行っていた美青みおは、凝り固まった肩を回して、無機質なデスクの上では微妙に浮いて見えるクマの置時計を見た。


こういうキャラクターものを持っていると、物凄く以外という反応をされる。


自分でもそう思うし、自ら進んで買おうとは思わない。


これは、義理の姉になった人物からのプレゼントだから、こうして使っているのだ。


見た目も中身もふわふわのマシュマロみたいな、可愛らしい彼女なら、このクマの置時計ももっと似合っただろうに。


とはいえ、こうして長く飾っていると不思議と愛着が沸くもので、いつの間にかパソコンで時間を確かめるよりも時計を見る事の方が多くなっていた。


「もうこんな時間・・」


システム室は、社内からの問い合わせや依頼の電話が多いため、固定の昼休憩を設けていない。


その為、部署内にランチタイムを知らせるチャイムは鳴らないのだ。


それぞれが仕事のキリのよいタイミングで休憩に立つのが常だった。


パソコンという無機質な存在と黙々と向き合う仕事。


女性には退屈なんではないか、と思われがちだが、人付き合いが得意ではない美青にとっては、願ったり叶ったりの仕事だった。


にこにことお茶を配って回る様な、所謂OLには逆立ちしたってなれない。


女子の集団が得意ではないので、出向先の系列会社から本社への異動辞令が下りた時には、事務職に回されたらどうしようとひやひやした。


同じくパソコン相手の部署に配属されて2年。


ここでの仕事にも慣れたし、部署内の人間とも当たり障り無く付き合えている。


一部を除いて。


「おまえ、今日も昼飯抜くつもりじゃねぇだろうな」


斜め後ろから聞こえてきたセリフに、美青の表情が一気に剣を帯びた。


放っておいてよ、と言いかけたセリフをぐっと飲み込む。


この応酬はもう何百回と繰り返してきたからだ。


「もう少ししたら行く」


「もう14時前だぞ」


行くつもりないだろ、と暗に示されて、眉間の皺がさらに深くなる。


「っさいな・・」


見渡したフロアには、声をかけてきた宗方と美青の二人しかいない。


放っておくと、丸一日食事を抜く事もある美青の腹は、滅多に空腹を知らせない。


今日は、朝久しぶりにお気に入りのパン屋で好物のくるみパンを買ったせいもあって、殆どおなかは減っていなかった。


デスクの上に置かれたままの紙パックの紅茶を引き寄せる。


「「面倒くさくて」」


2人の声が綺麗に重なった。


美青が紙パックに刺さったストローを噛んだまま、ぎろっと鋭い視線を宗方に向ける。


出社すると、邪魔だからとスーツの上着を椅子にかけるので、彼の席はよく目立つ。


背中を向けたままの彼が、少しだけ振り向いた。


呆れた顔で、美青を見やる。


「言うと思った」


「・・・」


週明けの月曜日はとくに、オンラインシステムに関するエラーや問い合わせが多い。


仕事に追われている間に夕方になることもままある。


ここ1か月、月曜日は一度も昼食を摂っていなかった。


同じ部署で、美青以外の唯一の女性社員である、後輩の間宮菜々海まみやななみが休憩前に”栄養補給に”と置いて行った、アニメキャラクターのウェハースの封を開ける。


重度のオタクである後輩は、好きなキャラクターを引き当てる為に、たびたびお菓子を箱買いしては配って回るのだ。


この際、味云々はどうでもいい。


すぐに食べられて、適度に糖分を補給できれば。


本当ならここで膝を抱えたいところだが、さすがに社内ではそういうわけにもいかない。


「鶏ガラにでもなるつもりか?」


椅子のまま隣まで移動してきた宗方が、無遠慮に美青の手首を掴んだ。


「たとえ悪すぎでしょ!?」


「事実だろーが」


また細くなってる、と顰め面で指摘されたが気づかなかったふりをする。


「倒れたりしないわよ」


「やめろ、嫌な事思い出させんな」


苦い記憶が蘇ったとでもいうように、宗方が華奢な手首を手放した。


「悪かったわね、迷惑かけて」


これでも一応反省しているのだ。


倒れるにしてもタイミングが悪すぎたな、と。


珍しくしおらしい態度の美青に、宗方が一瞬驚いたように目を瞠った。


この機に乗じて言いたい事を言ってやろうと、すぐさま身を乗りだしてくる。


「そう思うならもうちょっと・・」


「ねえ」


これ以上口煩くされてなるものかと、美青はキラキラの王子様が微笑むパッケージを宗方に向けて差し出した。


「一枚あげる」


「・・・それくらい食えよ」


”女の子は、多少ふっくらしていて、柔らかすぎるくらいがちょうどいい”


これは持論であるが、一般論でもあると、宗方は信じている。


腕に収めた時の、程よい弾力とフィット感が重要だ。


それで、適度に愛想が良ければ言うことは無い。


これまでもそういうタイプの女性とばかり付き合ってきた。


対人受けの良い、そつがない女子と。


多少の計算はあれど、適度に甘えてくれるのは可愛いし扱いやすい。


そんな彼が、初めて出会った”異色女子”それが橘美青だった。


「もっどりましたーぁ」


やけに間延びした挨拶と共に、大きなコンビニ袋をぶら下げて間宮が部署に戻ってきた。


フロアをぐるりと見回して、いるであろうと踏んでいた人物の不在にあれれ?と首を傾げる。


顎に指を添えて小首を傾げる姿は、まさに彼女の好きな二次元の世界のキャラクターのようだ。


学生時代は全力で別の誰かになりきっていたという彼女らしい仕草。


初めて会った時は、美青とは別の意味で面食らったが今ではもう慣れた。


綺麗に揃えられた前髪と、丸ぶち眼鏡。


おっとりはんなりな見た目とは裏腹に、彼女の頭を占めるのは緻密な計算式と、好きなキャラクターの事だけ。


機械オタクでもある彼女は、自分でゲームを作るほどの知識と技術を持っており、部署内でも優秀と有名だった。


「宗方さーぁん。いとしの美青姉さん何処行ったんですかーぁ?」


美青の異動と、間宮の配属が同時期だった事もあり、間宮からぐいぐい強引に迫って何とか打ち解けた二人は、仕事帰りにお茶をする程度には仲良くしているらしい。


”美青ちゃん”と呼びたがった間宮に、頼むからちゃんづけは止めて!と必死に懇願していた美青はなかなかの見ものだった。


「上」


素っ気なく返事をして、この後の会議資料を揃える宗方に、間宮が人の悪い笑みを向けてくる。


「寝不足そうでしたもんねぇ、朝から」


「間宮・・気づいてたんなら先に言えよ。お前のが隣なんだから」


「いやー・・私が寝て来いって言っても姉さん聞いてくれませんもん。新規登録終わるまでは無茶すると思ってたんでー・・そのうち宗方ストップがかかるだろーと思ってぇ。見守ってました。生ぬるく!」


ぐっと親指を立てる後輩に、宗方が凶悪な視線を投げる。


強面でガタイの良い宗方に睨まれても、間宮はびくともしない。


乙女手に指を組んでいやーん!と笑って見せる。


「心配なら、とっとと連れて帰ればいいんですよ!」


「ごふっ!!」


飲みかけの缶コーヒーを盛大に吹き出して、宗方が咳き込む。


「上の階に、夜型人間が越してきてうるさくて眠れないってぼやいてましたし。いい機会じゃないですかぁ?頑なツンデレ女子は、押して押して押しまくれ!ですよ!」


「・・・間宮・・それ橘に聞かれたら、泣き見んのお前だぞ」


低い声で呻る宗方が、余計なお世話だと呟く。


心なしか赤い頬を、間宮がにやにやしながら見つめている事に本人は少しも気づいていない。


「ええー。お二人が幸せになるのなら、私の涙なんてお安いもんでっす★ってゆーのは冗談ですけどー・・姉さん、優しいから私が泣いたら許してくれちゃいますもん。中身めっちゃ男前だから、あの人」


「・・・それはわかる」


反論できない事を悔しく思いながら、宗方は仕方なく同意した。


頬杖をつく宗方に、間宮がそうだ、と続けた。


「サバサバ系女子をオトす方法、ググっときますね!」


「・・・もーいいから、頼むから余計な事すんな」


満面の笑みを向けられて、宗方が資料を手に立ち上がる。


悪いやつではないのだが、長時間一緒にいると物凄く疲れる。


「1時間したら降りるつってるけど、戻ってこなかったら様子見に行ってやってくれ。室長と課長はこの後も支社とのテレビ会議な。江口は駅前店のネット配線工事の立ち合い。芹沢と係長は秘書室のパソコン設置の補助。吉野さんは昼から半休でもう帰ったから」


「リョーカイっす。留守番しまーす」


「ああ、あと。この間のウェハースな」


「ん?ああ、きらめき王子シリーズの」


「嫌いじゃないみたいだから、残ってんならあいつにやって」


差し出されたウェハースを半分に割って戻すと、そんなに食べたいわけじゃない、と言いながらも美青は綺麗に平らげたのだ。


甘すぎないチョコと軽い食感が食べやすかったらしい。


宗方の依頼に、間宮がうんうんと頷く。


「次のシリーズお迎えしてきたんで、姉さんにどっぷり回しますね!」


手にしていたコンビニ袋から透けてみる四角い箱。


宗方は心からの感謝を口にした。


「お前がオタクで良かったわ」



★★★★★★



”男前”なのは認める。


責任感の強さは誉められるべきだし、仕事の進捗も申し分ない。


安心して仕事を任せられる相手だ。


が、何事にも限度がある。


後を間宮に任せて部署を出た宗方は、工程管理の打ち合わせ用に押さえてある会議室に向かいながら、右手に見えてくる自動販売機にちらりと視線を向けた。


・・・ちょうどここだったよな・・・


資料を持つ右手を僅かに持ち上げて、宗方はあのなんとも心許ない感触を思い出して顔を顰めた。






★★★


美青と間宮が配属されて3か月。


新入社員の間宮には、教育担当の芹沢がつきっきりでシステム操作を叩きこんでいた。


以前の系列会社でもシステムサポートをしていた美青は、新しいシステムにもすぐに慣れて、操作方法などの簡単な問い合わせには一人で対応できるようになった。


その頃、ちょうど販売本部で在庫管理の新システムの導入が検討されており、手伝いをさせるつもりで美青をプロジェクトに加わらせた。


販売本部の社員は、当然ながら接客がメインの為、パソコンに疎い者も多い。


その為、各店舗には、システム操作の手順をより詳しく説明する必要があった。


出来るだけ簡単で扱いやすいシステムを導入してはいるが、基本操作だけは覚えて貰わなくてはならない。


資料作成と説明会準備のメイン担当は、室長の一存で美青に任された。


販売店舗の所属人員は6割が女性だからだ。


女性目線できめ細やかなものを、という意図があったのだろう。


二つ返事で頷いた美青は、さっそくその日から資料と、説明会用の映像作りに取り掛かった。


誰にも頼らず、相談もせず、ひとりで。


暫く様子を見ていた宗方は、美青の仕事のやり方に痺れを切らして口を挟んだ。


メインの担当になったとはいえ、役割分担できるところは必ずある。


人手は多いに越したことは無い、と説得する宗方を美青はばっさり突っぱねた。


「だから、出来ない所がないから要らないって言ってんのよ」


指示された仕事は、確実に期日までに仕上げて来るし、口答えもしない。


間宮と比べれば愛想は皆無と言っていいが、こんな風に言い返されるとは思っても見なかった。


気のいい先輩面で対応してきた宗方も、さすがに自分を抑えきれなかった。


補佐担当として自分と、後輩の江口もサポートに回るつもりだったのだ。


「っかっわいくねぇな!お前がやってる3分の1をこっちに回せば、もっと早く終わるっつってんだろ!」


「あんたと江口くんの仕事の量見てるから言ってるんですけど!?」


確かに、宗方も江口もそれぞれの担当部署の仕事を抱えている。


商品作成から販売までを担うシステムは、処理内容が多岐にわたる為、生産部、商品部、販売部、一般業務部とそれぞれの部門ごとに担当を分けていた。


日々起こる簡単なエラー関係は全員で対応するが、原価管理や工程管理の専門処理になると各担当に繋ぐことになっているのだ。


その為、担当部署からの問い合わせや依頼も多く、今の所担当の決まっていない美青と間宮が手隙なのも事実だった。


だからといって、任された全部を一手に引き受ける必要は無い。


適度に周りを頼って、円滑に仕事を進めて行く事を美青に覚えて欲しかった。


いつもの宗方さん、呼びから一転”あんた”と呼ばれて面食らいながら、こっちが本音かよ、と舌打ちする。


「お前な!こっちは二年も多く面倒なシステムと格闘してんだよ!そのやりかたじゃあどのみち潰れる。時間の問題だ。回んなくなる前に、周りを頼る事を覚えろ」


宗方の厳しい一言に、美青の顔が泣きそうに歪んだ。


こんな風に表情を露わにする彼女を見るのは初めてだった。


こういう顔もすんのか・・・


どこか冷静な感想が頭の中で浮かんだ次の瞬間。


「うるっさ・・・」


噛みつこうと険しい視線を向けてきた美青の身体が後ろへ傾いた。


「っ!!」


崩れた背中に、咄嗟に腕を伸ばす。


腕が簡単に回り切る華奢な背中。


支える為に触れた肩が小さすぎて、ぎょっとなる。


掛かる重みを覚悟していたのに、増えた加重はあまりにも少なすぎた。


こんなに細くて動けるもんなのか?


ふっくらと健康的な丸みを帯びている間宮と正反対の身体をしている事は知っていた。


けれど、いつも体のラインを隠す洋服ばかり選んでいたので、その中身が本当はどうなっているかなんて、知る由も無かった。


僅かにでも力を加えたら、簡単に折れてしまいそうな細い腰を慎重に抱え直す。


どれだけ虚勢を張って見せても、こうしているとただの女の子だ。


二つも年下の女子相手に余裕を失くした自分を恥じつつ、宗方は腕の中の美青に、小さく悪かった、と呟いた。



「食わないならせめて寝ろ」


押し付けられたウェハースをもそもそと口にする美青の横に張り付いたままで宗方は言った。


だからいい加減放っといてくれたらいいのに・・・


美青が無茶をして倒れたのは2年も前の話だ。


始めての異動で、緊張の連続だったせいもあり、慢性の寝不足が続いていた頃だった。


漸く仕事に慣れてきた矢先のプロジェクト参加で、緩みかけた緊張が再び襲ってきて、プレッシャーと不安でいっぱいいっぱいだった。


周りを見れる余裕なんて、これっぽっちもなかったのだ。


頼みたい事は山積みでも、他のメンバーの仕事量を考えるとそうもいかない。


元より上手く人を使えるタイプではないのだ。


いちいち説明してお願いする位なら、残業覚悟で終わらせます。


そのほうが面倒くさくないから。


そんなスタンスで何とか仕事を片付けようと躍起になっていた頃に、宗方から手痛い指摘を受けた。


理路整然と美青のやり方を変えようとする宗方のお節介は、ただの叱責にしか思えなかった。


誰にも文句はいわせない。


あたしはきちんと仕事をこなしてる。


それで誰にも迷惑かけてないでしょ!?


元から内にため込む体質だった事もあり、宗方のセリフで爆発した。


ここぞとばかりに食って掛かって、怒鳴り散らした挙句、貧血を起こして倒れた。


目の前で女の子が倒れるなんて、そうそうあり得ないシチュエーションだ。


当時の宗方の心情を思うと、申し訳ない気持ちにはなる。


けれど、あれ以降倒れるような無理はしなくなった。


自己管理も仕事のうちだと再認識させられたし。


だからこそ、理解できないのだ。


未だに宗方があれこれ美青に口を出してくることが。


「・・寝てないのは昨日だけ・・」


「嘘付け」


鋭い突っ込みが返って来て、こりゃだめだと話題を変える。


「宗方は?いつお昼行ったの」


大げんか以来、さんづけはしなくなっていた。


倒れた美青を休憩スペースまで運んだ宗方は、そのままそばを離れる事なく付き添ってくれていた。


目覚めた美青に、ほっとした様子で笑い、謝罪の言葉を口にする美青に”無理してさんづけしなくていいぞ。今更だからな”と返したのだ。


以来、年上で先輩でもあるがそこは綺麗に無視して呼び捨てにしている。


「昼回ったらすぐな。今日の午後はうち空けるやつ多いから」


「・・・ああ、たしかに」


本日の予定表が書き込まれているホワイトボードを今さら確認する。


会議や打ち合わせ、立ち合いの単語が並んでいる。


そう思ってみれば、間宮が昼に出る時に午後からは女子会っすね!と笑ってた。


「あんたいなくなるなら尚更居ないと」


さすがに全員で部署を空けるわけにはいかない。


寝不足なのはここのところずっとだし、倒れそうな程眠いわけでもない。


「間宮戻るまではいられる」


「・・・上、上がるのも面倒なんだよねぇ」


ならいっそデスクを枕に眠ってしまった方が早いのではないかと思えてくる。


けれど、パソコンが前にあるとついキーボードに指を伸ばしてしまうのだ。


これはもう職業病と言っていいだろう。


問い合わせの電話が入る可能性もある。


グズグズとデスクに突っ伏した美青を見下ろして、宗方がしょうがねぇなぁと呟いた。


「連行されたいか?」


「っ!」


あんまりごちゃごちゃ言ってると、むりやり抱えて連れて行くぞ、と顔に書いてある。


ここでの押し問答は避けたい。


大人しく従う事にした美青は、休憩スペースの簡易ベッドに横になった。


エアコンの稼働音だけが響く静かな空間。


眠れないと思いながらも目を閉じると、ゆっくりと睡魔が忍び寄ってくる。


1時間は戻って来るな、と念を押してきた宗方の顔がぼんやりと浮かぶ。


「・・・なーんであんなに・・口煩いんだか」


自分がそばにいる限り二度と倒れさせるわけにはいかない、とでも思っているのだろうか。


もう子供じゃないし、食べなかろうが、倒れようが、自己責任なのに。


あれ以来、宗方に対しては遠慮なく感情を露わにしている。


面倒くさい、口煩い、ほっといて。


さんざん並べ立てた文句の数々。


遠慮がないにもほどがあると時々自分でも思うが、今更”宗方さん”呼びの頃には戻れない。


さっき掴まれた手首を指でなぞる。


僅かに細くなっただけなのに、彼は的確に見抜いた。


「・・・ほんっと、宗方目ざとい・・」


思っても黙っててくれればいいのに。


いちいち指摘してくるから厄介なのだ。


これでまた食事を抜いたら、問答無用で定食屋コースだろうな・・・


つい先月も同じパターンに陥ったなと思い出して、美青は今晩は何か食べないとな、と心に決めた。

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