モテない男の英雄譚
アスパラキング
プロローグ
目の前に白い羽が生えている女性がいる。
この時点で分かってもらえる通り普通じゃない出来事が起こっている。
俺はさっきまで普通に生活していたのになぜか普通じゃない光景が目の前に現れた。
「あなたは先ほどお亡くなりになりました」
「へ?」
今、目の前に女性が俺はさっき死んだと言った。
こんなのを急に言われて「あ、そうなんですね」と軽く言える訳が無い。
「ま、待ってください!一旦頭の整理をさせてください!あ、あと、あなたは誰なんですか!」
「私は女神です」
めがみ?あの?よく異世界転生の最初に出てくるあの?
ドッキリの可能性は?…無いか。
こんな大掛かりなドッキリを俺なんかにするはずがない。
「何ですか?早くしてください」
「いや、受け入れられないんですよ!」
「思い出してください。あなたは轢かれそうになった子供を庇ったんですよ」
……!
そうだ!俺は学校に行く途中で轢かれそうな子供がいて、それで…。
「思い出したみたいですね」
「はい。で、俺は天国か地獄に行くんですか?」
今かっこをつけて平然として言っているように見えるだうろが、内心落ち込んでいた。
別に友達がいた訳でも無いし、部活を頑張っていた訳でも無いし、お金持ちだった訳でも無いし、立派な夢があった訳でも無いし、モテていた訳でも無い。
なのになぜか、今までの人生が恋しくなってくる。
もう一度だけやり直してたいと思っている。
「そうなりますね」
「もう戻れないんですか?」
無理なのはもちろん分かっているけど、一応聞いてみる。
「戻りたいんですか?」
「戻れるんですか!」
「戻れますが、その場合あなたが子供を守らなかった事になりますけど大丈夫ですか?」
「どういうことですか?」
「あなたが死なずに生きているって事は子供を庇わずに普通に学校に登校しているって事になりますよね?じゃあさっきあなたが命を張って守った子供が死んでしまいますよ」
「何でそうなるんだよ!子供が飛び出さないようにするとか、車が急ブレーキするとかしてくれよ!」
「それは出来ません。出来たとしても何らかの形で収束して子供が死んでしまう世界になってしまいますよ」
「……」
女神様の言葉に俺は黙る事しかできなかった。
だけどまぁよくよく考えたら元々死んでる様な生活を送ってたようなものだったしな。
未来のある子供とただ生きてる俺とじゃ人生の価値が違う。
「すみません。やっぱり大人しく死んでおきます」
「そうですか、あなたならそう言うと思ってました」
俺がそう言うってことを分かってた二択を出したのかよ、良い性格してるな。
「それにあなたは特別なんですよ、こうやって私と話す事が出来るのは」
「全員じゃないんですか?」
「皆さんにはさっさと天国か地獄に行ってもらってます」
「何で俺だけ特別なんですか?」
「…あなたがイイ奴だったからです」
「イイ奴?」
「そんな事はどうでも良いんですよ。そんな事より今からあなたには異世界に転生してもらいます」
あなたには異世界に転生してもらいます?
もしかしてこれって異世界転生!
漫画やアニメでよくみる異世界転生じゃん!
「興奮し過ぎですよ」
やばっ、思わず鼻息が荒くなってしまう。
「だって、妄想の中で何回も異世界に転生してましたから」
妄想がまさか現実になるとは。
いやー、授業中ずっと世界を救ってたのがここで役に立つ事になるとは。
「異世界に転生をしていただいて、そこで元気で健やかに生活してもらったら結構です」
「はい!分かりました!」
「では、頑張ってくださいね」
女神様は俺を転生をさせる準備をする。
「いやいやいやいや、待ってください!」
「はい?何ですか?」
「異世界転生と言ったらのあれは無いんですか?」
「…?」
「チートですよ!チート!」
異世界転生って言ったらこれでしょ!
チートで無双してモテまくるのが異世界転生の醍醐味だから。
「何を言ってるんですか?それはその世界を救ってほしい時に与えるものでしょ?あなたはその世界で元気で健やかに生活をしていただくだけで大丈夫なので。では、お元気で」
「え、え?え!え、そこはチート無しで生き残れる世界なんで…」
俺が言い終える前に目の前が真っ白になった。
…本当に大丈夫なの?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とりあえず一ヶ月毎日投稿するので観てくれたら嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます