第2話
この胸のトキメキ、これを恋と言わなかったら何と呼べばいいのだろうか。
いや、これは恋としか言いようがない。
じゃあ逆に恋じゃないとか言う奴俺の前に出てこい!俺の胸の音を直で聴かせてやるからよ!それで胸の音をベースに子守唄で寝かせつけたところでお前の家燃やしてやるからよ!
だから俺の恋邪魔するんじゃねぇぞ!
それくらいこの気持ちを他の感情で表されないって事だよ!
「依頼しに来ました」
ここに来て二週間ぐらい経ったがまだ一人として依頼がきたことがなかった、だから俺とレンにとっては初めての依頼だ。
そもそもこの学園の奴らはこの部活の存在を知っているのだろうか?
こんな別棟の端の端に追いやられている部活なんて誰も知らないだろうな。
でも、今日記念すべき1人目がやって来てくれたんだ。
「とりあえず座ってください」
と部長が言ったので俺はすぐに椅子を彼女に差し出した。
こういうところで俺はアピールしなきゃな、これでまた好感度が上がってフラグを建てまくってしまうなぁ、これだから俺みたいな男はダメなんだよなぁ。
「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
やったー、美女にありがとうって言ってもらえた。
みんなにはたかが感謝されているだけだと思うだろうが、俺はここの学園に来てから女子に避けられてきたからありがとうって言葉だけでも嬉しい。
やっぱり感謝って心に染みるんだよなぁ。
「依頼を聞く前に名前を聞いても良い?」
「一年のマイです」
へーマイちゃんかぁ、かわいい名前だなぁ。
そういえばまだマイちゃんに告白してなかったなぁ。
もう俺は何人にも告白してきたのだが、マイちゃんの顔すら見た事がなかった。
これは逆にラッキーなのかもしれない、マイナスからのスタートじゃなくてゼロからのスタートが出来る。
「今日はどんな依頼があって来たのかなぁ?」
「形見を取りに行くのを手伝って欲しいです」
「形見?」
「はい、父がレフの森にある調査で行ったんですけど途中でモンスターに殺されてしまいまして、父がずっと愛用していた短剣を一緒に取りに行って欲しいんです」
マイちゃんの言葉は段々と弱くなっていっているのが分かる。
そら、父さんが亡くなったんだから仕方ないよな。
だけど、部長の顔を見ると何か難しそうな顔をしている。
「どうしたんですか部長?」
「おかしいんだよ」
「何がですか?」
「レフの森ってそんなに強いモンスターはいないんだよ、マイさんのお父さんって弱かった?」
「いいえ、父は弱い訳ではありません。それに1人で行った訳じゃなくて6人でレフの森に行ったんです」
「考えすぎですよシューヤさん」
「そうなのかなぁ」
確かにおかしい、レフの森にいるモンスターは人を傷つけるモンスターは少ない。
レフの森で死んでしまうのは油断とかでは理由にはならない。
こんな誰も知らないと言っても過言ではない部室に1人で来て、頼ってくるなんて相当大切な物なんだろうな。
そんな事を頼まれたら1人の人間として絶対に叶えてやりたい。
でも、俺は思ってしまった。
ここで俺がマイちゃんの依頼を達成すればマイちゃんは俺のことを意識するということを。
そして、いずれかは2人が両想いになって結婚まで俺は見えてしまった。
「ぶちょーー!!!この依頼俺に任してください」
「じゃあ、この依頼はジンに任せようかな」
「やったー!!」
よし、頑張ってこの依頼を達成してかっこいいところを見せるぞ。
そして、マイちゃんの心を鷲掴みにしてやる!
「待ってくださいシューヤさん!そいつより俺に任せてくださいよ」
横からレンが口を挟んできた。
こいつは本当に俺の邪魔ばかりしやがって、だから嫌いなんだよ。
「うるさいなぁ、部長は俺に任せたんだよ」
「魔力無いくせにこんな重要な依頼を達成出来るわけないだろ」
「なんだと」
「なんだよ」
俺とレンが口げんかして睨みあっていたら
「まぁまぁ、この依頼は二人に任せるよ」
これに見かねた部長がこの依頼は2人に任せると言った。
「はい、頑張ります」
なんでレンと一緒にダンジョンに行かないといけないんだよ。
絶対でしゃばって俺の邪魔するに決まっている。
「レフの森に入る許可は俺がとっておくから三人で待ち合わせ場所と時間合わせておいて」
せっかくマイちゃんと二人っきりでの待ち合わせだったのに。「待った?」「待ってないよ」のやりとりがしたかったのに。
「土曜日の午後1時でいいかなぁ?」
かわいい〜、早起き苦手なのかな?かわいすぎるだろ。
「うん、いいよ」
「分かった」
よし、土曜日に依頼を完璧に達成して必ず俺のヒロインにしてやる。
待っておけよ、俺のウエディングロード!
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主人公のテンションはちょっとうざいかもしれませんが頑張って付いてきてくださいね。
22時にも投稿するので観てください。
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