中年死神の俺と後輩

@tanakasuzuki

死神の日常

「ふぁ〜〜〜〜、ヤッベ超眠い、やっぱ昨日の仕事一人でやるもんじゃないって

なんで現場に向かうのが俺だけなんだよ、100人分の魂なんか一人でさばけるかよ」


「なんだかんだいってちゃんと仕事を終わらせたじゃないですか」


「いや仕事やりきらないのはプライドが許さなくてな、これだからできると思った上司が仕事投げてくるんだろうな、トホホ…」


ほんと、なんでやっちゃったんだろうな、半分くらいやってギブアップして帰ってくればよかった、、


「上司って、、先輩だけっすよ、閻魔様のこと上司っていうの、社畜根性が抜けてないんじゃないんスカ?」


「んなことは良いんだよ、もう閻魔様もそれでいいって言ってるし、

あぁ、こんな労働やめてさっさと天国でのんびりしたい」


「そういえばなんで先輩はここで働いてるんスカ?」


「いや、死んだ人ってその後閻魔様のところいくじゃん?そのときに俺すっ転んで赤鬼のかつら取っちゃってさ、バツとしてここで働かされてんの」


いや〜あのときの赤鬼は怖かった、体感温度5どくらいあがったもん、冷や汗と普通の汗が同時に出てきたわ


にしたってかつらだけで6年働かせるって、、やっぱここの時間感覚は違うんかな


「へぇ〜〜、あの鬼ってかつらだったんだスカ」


「あ、今の内緒で、バレるとあと5年で解放される予定が伸びちゃうから」


「どうしましょうかねぇ〜、今度一緒に回収に行ってくれるんなら良いっすよ」


「お、?そんなことでいいのか、いいぞ」


「言いましたね?言ったっすからね?絶対っすよ」


「わかったわかった、俺の仕事が少ないときな」


「ウッス!!」


さて、そろそろ仕事に行かないとな、今日はどんな子の魂を運ぶのかなっと

ほ〜、18歳響華ちゃん、いじめが原因で自殺ねぇ〜


「なんか最近多いよな、こういういじめとか、死んで逃げたいって気持ちもわからなくはないけどね」














俺は今、少女が黙々と自殺の準備をするのを眺めている


俺は死神だから、生者の目に見えないし、触れることもできない、さらに言えば声を届けることだってできない


「はぁ、これで死ねばあいつらを少しは驚かせられるかしら


ッッ!」













「まあ一瞬驚きはすれどもそんなにダメージはないんじゃないかな、見た感じ本物の屑だし、特に気にもとめないと思うよ、これは将来地獄行き決定だな、安心していい」


あ〜あ、やっぱ人が死ぬとこって何回見ても気分悪いな、こんな仕事してる以上慣れなきゃやっていけないんだけど


「へ?」


「ほら、さっさと閻魔様のところ行くぞ、俺眠いしはよ帰りたい」


「え、え?、ヒッ!?わ、わたしの死体?!な、なんで、、」


「そらそうだろ、君今死んだんだし、死体は消えたりしないよ、早く行こう」


こんななにもない死体しかないところなんか長く居たくないしな









「閻魔様、死者の方をお連れしました」


「うむ、ご苦労、今日はもう休んで良いぞ」


「え、マジですか、、じゃなくて、ありがとうございます

それでは失礼します」


ふんふふ〜ん、何しよっかなぁ、




あ、

俺今罰を受けてる最中だしゲームとか漫画とか見ちゃいけないんだった、



ど〜〜しよっかなぁ、、、、、

食い物も特に食わなくて大丈夫だし、というか、ここにくいもん食う場所とかないし


どうしよう、折角の休み、なにかしたいけど何もすることがない、、、



寝るか、、



「先輩!休みっすよねそうっすよね!?さっき言ってたデーt、、じゃなくて、回収に行きましょ!」


「え〜、今行くのか?俺もうねる気満々なんだけど」


「良いから行くっす、善は急げっすよ、ほら早く!」


「わかったわかった、行くって」












「んで?お前は今日どこの回収に行くんだ?」


「え〜っと、確かメモがここに、、あ、あった、え〜と?   うげっ、行く日まちがえたかもっす、デートが刑務所とか流石に、、、」


「ん?どした?」


「いや、なんでもないっす、今日行くのは◯◯刑務所っす」


「あ〜刑務所か〜、たしかにあそこ一人で行くのは怖いよな」


「そうっすそうっす、だから一緒にについてきてください、っす?」


「どうした、なんかあったか?」


「いや、なんでもないっす、それより先輩、なんか怖くなくなってきたんで帰ってもらって大丈夫っす」


「へ?いやいやここまで来たんだし一緒に行くぞ?」


「大丈夫っす、先に帰って寝ててください、お願いします」


「まあそこまで言うんなら、、じゃあ先に帰ってるぞ」


「はいっす、また後で」





















先輩は帰ったっすね、

にしてもここでまたあいつの顔を見ることになるとは思わなかったっす



「獄山、前へ」



「なにか言い残すことはあるか?」


「・・・・・・・・」


ブ〜〜〜〜〜〜〜−


ガコンッ




「ッッ!」















「はい、じゃあ行きましょうか、



地獄に」







「と、言うことで閻魔様、わたしはこの男を通常より苦しい地獄へと送りたいと考えています」


「う〜〜む、お主の頼みなら、と言いたい所だがな、他人にまで影響を及ぼすとなると、、、いやしかし、、どうしたものか」


「この男は何人もの善人を殺してきた極悪人っす、普通の地獄では生ぬるいと思います!それに!こいつは先輩を殺した張本人っす!絶対に許せないっす!」


「まあ言い方を変えればそやつのおかげでおぬしはその先輩にここで会うことができたのだろう?」


「それもそうですね、、、そう考えたらこいつのことどうでも良くなってきたっす、


まあ良いっす、今回は閻魔様に任せることにします

ただ、普通の地獄ではそれには生ぬるいと思うっす」


「了解した、相応の地獄へ送ることを約束しよう」


「ありがとうございます、では失礼します」













「閻魔様、あの者はこのままにしておいてよろしいのですか?」


「あやつの人生はそれはそれは悲惨でな、母が死に父が死に、入った会社はブラック、ただそのような環境にいても真っ当に生きようとしてきた善人だ、そのようなものが死んだとなれば天国行きはほぼ確定のようなもの、だがあやつは死神の一人に一目惚れしたから働かせてくれと言ってきた、

そうなればできるだけ応援したくなるのは仕方ないであろう」


「そういうものですかね」


「男の方は知らぬかもしれぬが、あやつは5年後天国で二人で暮らすための計画も進めているらしいぞ、なんともまあ重い愛よの」











「センパ〜イ、ただいまっす」


「おう、おかえり」


「むふふ〜、先輩、わたし死刑囚の魂運び一人でやったんすよ、すごいでしょ、褒めてくださいっす」


「おう、よくやったな、俺もあそこはどうも苦手でな、まだ働きだしてそんなたってないのにすごいぞ」


「むふふ〜」














「そういえばさ、お前はどんな事やってここに配属になったんだ?」


「え?」


「ここって地獄行くほどでもないけど天国行きかと言われたら微妙なラインのやつが天国行くためのポイント稼ぎのために働く場所だろ?俺みたいなのは例外として」


「あ〜、まあわたしも先輩と同じで例外みたいなものっす」


「へえ〜、ま、あと数年くらいだろうけどこれからもよろしくな!」


「へへっ、それはできない約束っすね」


「えっ?」 





(ふふっ、数年なんかで離すわけないじゃないですか、先輩にはこれからずっとわたしと一緒にいてもらうっす)



「先輩、これからもよろしくっす!」


「お、おう?」

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