第25話



「あそこなら断れないと思ってな」

得意げに父が言っている



「ことわれなーい」


アルミナが食べ物を口に運びながら相づちをうった



「だからあそこを選んだんだ」

父が遠い目をしながら嬉しそうに言う




「まぁ……断る理由もありませんでしたけどね」


「なにを言うか。他の男性からも言い寄られていたじゃないか」



そう言われた母が、テーブルにナイフもフォークも置くとナプキンで口もとをふいた


そして、まっすぐ父を見る




「私の気持ちは決まっていましたもの」



父が下を向いた。耳が赤い




「ごちそうさまでーす」

目を伏せながらアルミナが言った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る