第20話
「ほう、威勢がいいな」
”侍”は、猿の尻のように赤い目を細めた。
「ネエちゃん、よく見ると
「誰? ドクロベエとかいうのは」
「髑髏左衛門様はな、
侍は、
その時だ。
侍の前を黒い稲妻が
「グエェェェェ――」
侍は
アリアの目には、はっきりと見えた。
稲妻の正体は、さっき舞い降りた”
烏は、近くの枯れ木の枝に留まって、無機質的な視線を侍に送っている。
大きさは、普通のカラスの数倍はある。全身を覆う黒光りする
そして、足が3本。
<これは……。東方神話に出てくるターヤガラスかもしれない>
アリアは幼いころ、その神話を聞かされたことがある。
ターヤガラスは、
全身が
その最大の武器は、
風切羽とは、鳥類の
ターヤガラスの初列風切羽は、
「おのれ、たかがカラスの
ところが、権太丸が後ろの空を見上げると、いつ現れたのか、空一面に黒雲が立ち込めている。
よく見るとそれは、おびただしい数のターヤガラスだ。
枝に留まっているターヤガラスが、「カーー」とよく澄んだ美しい声で鳴くと、カラスの大群は、いっせいに向きをこちらに変えた。
「ゲッ! こりゃ多勢に無勢だ。逃げる暇はないから、ボスの力におすがりしよう」
権太丸は、口の中で何やらモゴモゴと
すると、辺りの白い地面があちこちで盛り上がり、墓場で蘇るゾンビよろしく、
「わしを呼んだか? 権太丸よ」
野太い声が響いた。
《続く》
作者 あそうぎ零さん
https://kakuyomu.jp/users/asougi_0
代表作「忘れえぬ人」
https://kakuyomu.jp/works/16817330649232544008
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