(二)-12

 もうしばらく行くと、車は突然がくんと前傾した。前輪が崖から落ちたのだろう。

 車はさらにその前傾の状態でゆっくり前に進んでいった。視界はまるでジェットコースターに乗っているようだった。

 車は前に進めば進むほど前傾の傾斜を深めていった。約四五度の角度くらいになると、視界は東京湾の海のみになった。遠くではなくすぐ近くの水面が見えていた。

 さらに車はゆっくりと進み、がくんと振動させながら前のめりになった。明の身体は引力に引かれてシートの背もたれとの間に隙間ができていたが、シートベルトのおかげでなんとか運転席にとどまることができていた。


(続く)

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