(二)-5

 そうして夜八時過ぎになり、有紗が帰ってきた。

 玄関から入ってきた有紗に「おかえり」と声を掛けると、有紗は明のことをジッと見つめてきた。

「どうしたの」

 明はそう尋ねた。

 それとほぼ同時に有紗は明に近づいてきた。そして「どうしたの、はこっちのセリフだよ」と明の腕のあちこちに貼られた絆創膏や擦り傷、あざを見てそう尋ねてきた。

「ああ、撮影中にね、ちょっとした手違いで」

「ちょっとした手違いで、こんなに傷になる? 病院行った?」


(続く)

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