(二)-2

 ちょうどこのとき、爆発とともに後ろへ大きくジャンプして吹き飛ばされる悪の手先のボス役を務めていた松橋明は、演技や身体の運びなどはいつも通り見事にこなし、全く問題なく撮影できたと自賛気味に思ったものの、着地する寸前からその後にかけて岩や土の塊を身体に浴びることになった。

 その石と岩のつぶては撮影隊の方にも被害を出していた。撮影中のSONY製のデジタルハイビジョンカメラのレンズを割り、ヒロイン役を務める若手女優が手にしていたタピオカドリンクの透明なプラスチックカップをその手からもぎ取り、ミルクティーと大きめのタピオカの粒を草の生えない採石場跡地の地面に飲ませるなどした。


(続く)

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