第7話

「真弓は本当に堅実だよね」


「そうかな?結構適当だしあんまり何も考えてないんだけどね」




そんなことないでしょ。



少し元気になったあいなと2人で過去の恋愛を振り返っていたら不意に言われた。



「だって真弓が恋愛で落ち込んでるのって見たことないよ!」


「確かに。私付き合ってるの人と喧嘩したことってないなぁ。…あっ!文句言ったりとかは全然あるけどね」


「喧嘩がないってまじ?

私なんてしょっちゅうだし、言い合いしてるときは彼氏にお前って言っちゃってるもんね」


「お前はやばいでしょ、あいな強すぎ」



くすくす笑いながらあいなが 次、これ入れよ。とデンモクを押している。




あいなとは高校からの友達だけど、同じグループに所属していたわけではない。



専門系の高校に入った私たちは3年間クラス替えがなかったため、クラスメイトとの親交が深かった。



ある日の放課後、ちらほらと人が残る中であいながカラオケに行きたいと声を上げた時に集まった4人でよく遊ぶようになった。




〝おけーず〝



あの頃はカラオケに行くことを(オケる)なんて言ってたっけ。



その場のノリで集まったメンバー。

ついたグループ名。



それが卒業した後も続く友達になるなんてあの時は全く思ってなかった。

本当に、何がおこるかわかんない。





「今日は付き合ってくれてありがとね。

まじで許せないからひろきとは別れるけど、しばらく男はいいやって思ってる」



いい歳してやばいとは思うんだけど。




眉毛を八の字に曲げたあいなを抱きしめたくなった。

ほんとの女の友情は男よりよっぽど厚いんだぞ!と女同士ってこわいという男に聞かせてあげたい。




私は絶対に裏切らないよ。



「あいな!遠慮せずこれからもガンガン声かけてね。いつでも遊ぼ、話そう!」



真弓テンション高すぎて面倒くさい。


そう言いながらあいなの目がうっすら潤んだのを見逃さなかった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る