第6話 恋愛体質

私はあまり恋多き女ではない。

現に、最後の相手に選んだ彼は人生で3人目の彼氏だ。


友達から


「もう恋愛終了だよ?それでもいいって思える相手ってどうやって決めれたの?やっぱり過去1いい男ってわけ?」


と、真剣に聞かれた時に改めて考えてみたけど

今までの中で1番かどうかを決める基準はなんだろう。



例えば、顔だけで言えば2番目の彼氏が大好きだった。ぶっちぎりのナンバーワンだ。


でも性格でいえばドベかもしれない。



人生初めての彼氏はやっぱりなんだか特別な気がする。

そう考えると学生恋愛を謳歌した1番目の彼氏はいつまでたっても気になる存在だ。



だけど決してあの頃に戻りたい。

後悔している。


そう思ったことがないから、やっぱり今の彼氏がナンバーワンなのだと思う。



よく、人生は難しいって言うけど恋愛がうまくいけば人生って楽しくなるものだ。


本当に難しいのは恋愛だよ。




「やっぱりタイミングなのかな」




無難な答えを言った私に不服そうな友達は、 氷だらけのカフェラテを吸い上げながら大きな瞳に涙を溜めた。




「私さ、…ひろきと別れた。」



これから結婚って時にこんな話してごめん。



そう言いながら私から視線を逸らした彼女は学生の時からクラス1の恋愛体質だった。

そんな彼女の心には実はずっと〝ひろき〝という中学時代の恋愛相手がいたことを打ち明けられたのはつい半年前。



いつも以上に浮かれながら

その〝ひろき〝と10年以上振りに寄りを戻したと空白の期間について語っていたのにどうして。



今の私が慰めると全て上から目線になってしまう気がしてかけていい言葉が見つからない。



「あいつ。私のこと共通の男友達に言ってなかったの。それで付き合ってること知らない男友達が私にあいつの彼女の話してきたわけ。二股だよ?最悪すぎ。」




(アラサーが運命を語って何が悪い。

現にこれは運命だっつーの)


そうやってカラオケで懐かしい恋愛ソングを歌いながら大爆笑していたあの日の私たちが急に色褪せてみえる。



1年前に婚約破棄になった友達は地元から離れた場所で今までとは違う自由な生活を送っている。



大人になるって、こうゆうことなのか。



結婚にタイムリミットを感じにくい男の人には分かり難いのかもしれないが、私たちは決して男性の人生を終わらせたいのではない。



支えたいと思っている。



結局。何年もしたら恋愛感情なんかなくなって、マンネリするか離婚するんだよ。



何人もの友達がそう言っていたが私はそんな風に思ったことなんて一度もなかった。



「やっぱり理想の家族ってかんじだもんね。真弓ならずっと仲良い夫婦でいれそう。」




将来を夢見る私に何度か友達が言ったこの言葉。

褒められているようなのに、みんなから一線引かれたように感じてしまう。




目の前で泣いている友達を前にさまざまな感情が渦巻いている自分に気がついてはっとした。



「あいな、泣かないでよ。

ひろきくんとは話したの?とりあえず今日は愚痴でも悩みでも何でも聞くよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る