甘いリズム

ももいくれあ

第1話

涙がでちゃう響きの中で

 私はじっと目を閉じた。

音の無いその胸騒ぎを、

 肌で強く感じていた。

つきあげる心の叫びに、

 かすれた声が溶けていった。

崩れそうな唇に、

 サヨナラの色は映っていた。

想いの隙間からこぼれおちる光は、

 やっぱり影を欲しがっていた。

両手につかんだそのリズムを、

 忘れられるはずがない。

海が溶けた雲を抱えて、

 夕陽に少し逆らった。

夜の月に笑われて、

 切なくって、ちょっと泣けた。

思い出に抱きしめられた。

 唇は冷たかった。

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甘いリズム ももいくれあ @Kureamomoi

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