第1話 登校

窓から日光が注いでくる。

二度寝したくても寝れない。

体を起こして『ふああああ』と腕を伸ばしながら思いきり欠伸をする。

枕元に置いてある時計を見ると8時を指していた。

頭を掻いて、目を擦る。


「いつまで寝てるの?もう8時よ!」


一階からお母さんの声が聞こえる。

もう一度、大きな欠伸をしながら部屋を出る。

洗面所に着くと妹がお母さんに歯磨きをしてもらっていた。


「あんた、いつまで寝てたのよ。遅刻するわよ」

「遅刻しないから大丈夫だって毎日言ってるでしょ」

「遅刻しなければいいって問題じゃないでしょ。早く起きる習慣をつけとかないと、肝心な時に起きれないわよ」

「わかってるって」


毎日こんな時間に起きてるから、毎日同じことを言われる。

顔を洗ってリビングに向かう。

椅子に座り、机上にある朝食を食べる。

最初に目玉焼きが乗ったトーストを二口食べる。

そして、ベーコンとレタスを箸で掴み一口で食べる。

そのあとは、また目玉焼きが乗ったトーストを食べる。

最後に、みそ汁を一気に食べて『ごちそうさまでした』と小声で言う。

食べ終わったら洗面所に戻り、歯を磨く。

歯を磨き終わったら、自分の部屋に戻り制服に着替える。

お母さんが、いつの間にか換気のために窓を開けている。

外から入ってくる風が心地いい。

そんなことを思いながら、ワイシャツを着てネクタイをする。

そして、ズボンを履き替える

枕元に置いてある時計をもう一度見ると8時25分を指していた。

朝のミーティングが始まるのは8時半だから残り5分しかない。

少し早歩きで部屋を出て、階段を下りる。

玄関に着いたら靴を履き、「行ってきます」とお母さんに聞こえる声量で言う。

家を出たら、学校とは反対側にある近所の公園に向かう。

朝の公園は基本的に誰もいない。

公園の中にある公衆トイレに向かい、個室に入る。

頭の中で、学校にある男子トイレの個室を想像する。

そして、『瞬間移動』と小声で言う。

すると、頭の中で想像したトイレの個室に瞬間移動できる。

トイレの個室のドアを急いで開いて、廊下に出る。

自分が瞬間移動したトイレは2階にあり、先生も生徒も使っているところを見たことがないため瞬間移動先はここのトイレにしている。

近くにある階段を上り、三階にある自分の教室を目指す。

スマホの時計を見ると8時28分。

残り2分なら、歩いても間に合う。

教室のドアが少しだけ開いている。


「はぁ」


教室のドアの上に黒板消しが挟まっている。

明らかに俺を狙った犯行だ。

理由は単純。前に一度引っかかったからだ。

その時に、犯人を知るためにテレパスという人の心を読む超能力を使った。

そして、自分は嫌われていていじめの対象になっていることを知った。

その後は、定期的に黒板消しを挟まっている時があるので当たらないようにドアだけ開いて先に落としている。

周りからは、『つまんな』などの声が飛び交ったりしているが変にかっこつけて避けるよりはマシだろう。

今回も当たらないようにドアを開ける。

毎度同じように、『マジでなんで引っかからないんだよ』や『つまんな』などの声が聞こえる。

首を突っ込むと面倒くさいことになるので、聞こえてないふりをしながら自分の席に座る。

少しボーっとしていると、チャイムが鳴り先生が教室に入ってくる。

早く家に帰りたいと思いながら、今日も学校生活が始まる。







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