転校生の謎と恋

ゴー・ハヤブサ

第1話

 あの時が、初恋だった。

夏休みも残り一週間宿題も終わりホッとして過ごしていた。夕方散歩に行きしばらくすると「ア!流れ星。でっかいナァ~‼」大木のある林の方に落ちた様ナァ?        

「ウワァ~願い事するの忘れた。」


二学期が始まった。

先生が女の子と一緒に教室に入って来た。

「六年一組に青山はなさんが転校してきました。みんな仲良くして下さいね。いろいろよろしくね。」

 青山さんはにっこりと笑い「皆さんどうぞよろしくお願いします。」っと言って僕の隣の席に座った。

 ある日の帰り道僕は裕一と歩いていた。気がつくと僕たちの前を青山さんが一人で歩いていた。

「和人、はなじゃない?あいついつも一人で帰ってるよな~何か淋しそうだな。」

「でも一人が良いのかもよ、学校でもいつも一人で過ごしているし」っと言って二人で帰ってきた。何だか、はなちゃんは謎めいていた。そんなある日の帰り道僕は一人で家に帰る途中前を急いで帰って行くはなちゃんを見かけた。何となく行き先を見ていると突然姿が見えなくなってしまった!

え~何で?ビックリしたのはその先には家は無かったはずだからだ。

前にそちらの方に行った時にはただ大きな大木と林しか無く、夕方には暗くなりちょっと怖い感じがする所なのである。

はなちゃんは強い子なんだな~俺は恥ずかしいけどちょっと一人で帰るのは怖いな。もしかしたら誰も帰り道が一緒の友達がいないから我慢して一人でかえっているのかもしれないから今度帰る時一緒にと思い声をかけてみた。

そうすると「和人くん今日は一緒に帰ってくれる?」っとはなちゃんに言われたので一緒に裕一も誘って三人で帰って行く。その間はなちゃんは何を話すでもなく僕らの話を聞いているだけだった。「じゃまた明日」っと別れ道に来るとはなちゃんが言った。

「うんまた明日」っと言って帰っていく先を見ていると、アレ!いない!どこに帰ったんだろうと思いながら追いかけることもせずに裕一と昨日のアニメの話をしながら帰った。

 家に着いてその日はいつもよりはやめではあったが寝てしまった。夜中に目が覚めてしまい、はなちゃんの事を考えてしまった。

何処に住んでいるんだろう?そう言えば家族は何人かな?転校してきてから二か月が過ぎるけど何にも話していないな~今度聞いてみようっと思いながらうとうとしていると、お母さんがお父さんに「和人のクラスの転校生の子なんだけど一人っ子らしくてお父さんと一緒に住んでいて炊事洗濯いろいろ一人で頑張っている子なのよ」っと話している声が聞こえてきた。そうなんだ、僕ははなちゃんの事何にも知らなかったな。お弁当も自分で作ってきていたんだな!僕は全部お母さんにやってもらっているな~何だか恥ずかしくもあり、はなちゃんの事を尊敬もした。次の日学校に行くと裕一が、和人はなちゃんの家に行った事有る?今ちょっとクラスで話題になっているんだけど。はなちゃんの家の方には何にも家が建っていないはずだと噂になっていて、はなちゃんは宇宙人じゃないかとかいろいろと噂話が飛び交っているんだよ!っと。僕は思わず「そんな噂話なんかもう話すのはやめようよ。自分がそんな風に噂されたらいやだろう」っと言って、はなちゃんがまだ来ていないか気にしながらこの話をやめさせたくて必死だった。その日の帰り道僕は裕一と、はなちゃんと三人で帰りながら今日はあの別れ道で、はなちゃんが家に帰る様子を見送ろうと思った。そしてその場所になった時「じゃーまた明日」っと言って手を振り見送った。裕一は急いでいたようでじゃーなっと走って帰って行った。僕は靴紐を結び直すふりをしてはなちゃんの帰る方向を見ていた。そうするとやはり前と同じように大木を過ぎると姿が見えなくなったっと言うより消えた!行って確かめてみようとしたが足が、前に進まない。え~‼やばいやばいやばいやばすぎる‼僕は今日の皆の噂話を思い出してしまい、はなちゃんは異星人なのか?いやいや~違うだろう。僕は何を考えているのか!違う違う。はなちゃんは僕らと同じ人間!ヒューマンだろう。何を考えているんだおれは。早く帰ろう家に帰ろうっとすごい勢いで帰宅した。玄関にいたお母さんと裕一のお母さんがビックリした様子で「何か有ったの?何!真っ青な顔して。何が有ったの~!」  

 「いやいや~運動のために走って来たからだよ」っと息を整え笑いながら自分の部屋に急いで入った。「今度、はなちゃんに聞いてみようっと。うん?しかし何て聞こう?いやいや正直にはなちゃんの家どこら辺に有るの」って聞けばいいか。うんうんそうだそう聞けば良いのだ。 

 その次の日、はなちゃんが転校するとのことで突然学校をやすんだのである。

何で?どうして急に?何か有ったのかな?っと考えていると。先生が、「はなさんはお父さんの仕事の都合で外国に行く事になりました。皆とも仲良くなって来たところだったので淋しがっていたとの事ですよ」っとの事だった。そしてその日の帰りに先生から呼び止められて。「和人、はなちゃんが帰り道いつも一緒に帰ってきてくれてありがとう。お礼も言えず急に転校になってしまってごめんなさいとの事ですって」っと伝えられた。それから僕は一人で帰って行きいつもの別れ道に来た時涙があふれてきた。「何でだよ何で急に行っちゃったんだよ?僕に話してくれても良かったんじゃないか~」僕は何とも言えない気持ちになりながら、はなちゃんのいつもの帰り道の後ろ姿を思い出しながらあふれる涙を拭くことも忘れて大きな声で泣きながら

「はなちゃん何で何も言わずに行っちゃったの?本当に君は宇宙人だったの?違うよね?僕は友達じゃなかったの?僕は、大事な友達だと思っていたよ~手紙でも電話でも良いから必ず連絡してよ~」っと大きな声で叫び、

もっとはなちゃんの事を知りたかったっと後悔し僕ははなちゃんが大好きだと気が付いたのだ。

 それから四年程が過ぎた。

高校生になったある日の夕方、いつものあの分かれ道の方から同じ年くらいの子が笑いながら手を振り走って来る。風に長い黒髪がなびいて光が当たりキラキラして見えた。

「和人くん~私、私よわかる?はな、はなヨ~」そう言いながら僕の近くにニコニコしながらどんどん近づいて来た。

「はなちゃん?どうしてここに、はなちゃんがいるの?何で?何で!」この状況が飲み込めない僕を更に驚かせたのは、はなちゃんが僕に久し振りに会うのにいろんな話を次から次へと話してくる事である。僕は開いた口が塞がらない様子で目を丸くして聞いていた。だんだんと、はなちゃんが落ち着いてきて今度は目に一杯涙を浮かべて「あの急なお別れの日からずっとずっと和人君に会いたくて会いたくてやっとまたこうして会えて良かった本当に良かった」っと言ってくれた。そして今度は僕が「何で何で急に外国に転校してしまったの?この分かれ道の先に行きたくても行けず進めずにずっと待っていたよ。でもこうして君に今日ここで会えて良かった本当にありがとう僕に会いに来てくれて。もう何も言わずにどこかに行ってしまうなんて事は絶対にしないで」っと言いながら二人共笑顔一杯の顔で分かれ道の所で積もる話を夜の月に照らされる中で長々と話していた。今度からはまた、沢山この場所で話せるから今日はこの位にして帰ることにした。はなちゃんを家迄送って行った和人は、ここがはなちゃんの家なんだねっと木々に囲まれて暖かい感じのする家に初めてたどり着いた。「また明日」っと手を振り帰って行く途中別れ道で振り返るとそこには大木と林しか見えない。あの時家迄送って行って、また明日っと言えていたらあんな別れをせずに笑顔で再会できていたのにな~あの時の僕は幼かったのだろうな~又こうして、はなちゃんに再会できて本当に良かった。ありがとう。誰に感謝するというよりも、はなちゃんの存在に感謝する僕が今いる。この先僕らがどう生きていくかは誰にもわからない、だけど大切なはなちゃんを僕は守って生きて行きたい。

 それともう一つ話しておこう。

はなちゃんの家に行けるのは、あの夏の日流れ星を見た僕の他には誰一人としていないという事と、この恋は誰にも言えないと言う事を・・・。 

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転校生の謎と恋 ゴー・ハヤブサ @go-hayabusa724

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