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 ……もう何も考えられない。何かを考える余裕なんてない。


 でもそれだけ僕は精一杯やったということだよね? ご先祖様もきっと天国で『よくやった』って褒めてくれてるよね? もう休んでもいいかな……?


「う……ぐ……」


 僕にはもはや立っていられるだけの力は残されていなかった。


 気を抜いた瞬間、僕はその場にうつ伏せに倒れ込み、鎧の騎士がゆっくりながらもこちらへ歩み寄ってくる足音と振動を感じている。


 あぁ……もうすぐ僕は……死んじゃうのかな……。


「――アレス、よくがんばったな。あとは私に任せるがよい」


 その時、僕の横に立ったのはミューリエだった。なんとか力を振り絞ってチラリと視線を向けると、彼女は満足げで晴れやかな笑顔。さわやかで温かな雰囲気が溢れだしている。


 直後、ミューリエは剣を抜いて構えると、勇ましい表情になって鎧の騎士へ向かって駆け出す。



 →5へ

https://kakuyomu.jp/works/16817139556074419647/episodes/16817139556074912770

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