死の恐怖に生かされている

天音心羽

プロローグ

 振り切れた個性なんていらない。

 みんなと同じ、普通が欲しかった。

 みんなと同じ、思い出が欲しかった。

 みんなと同じ、学校生活が欲しかった。

 でも、それは叶わない。

 私は、普通ではないから。


 みんなに合わせれば普通になれるのかな。

 自分が壊れていくのに目をつぶったまま。

 本当は自分らしく生きたいのに。

 私は、それを許さない。


 気づいたときには、私は壊れていた。

 いろんなことが、できなくなった。

 より、普通から遠のいた。

 私は、それを受け入れられなかった。

 悔しくて、仕方がなかった。

 でも、まだ懲りない。

 私は、普通になろうとした。


 生まれつきの障害だと気づいたら、私はまず親を憎んだ。

 私を産んだことを、恨んだ。

 遺伝だと気づいたら、同じく親を憎んだ。

 でも、しょうがないとも思ったから、憎しみはいつの間にか消えていた。


 なんで生きているんだろう。

 叶えたい夢は、消えてしまった。

 何もしたいことがない。

 何が好きで何が嫌いだったっけ。

 何に興味があったっけ。

 何をしても満たされない。

 心がカスカスして、崩れそうだ。

 普通にならなければ。

 そう思ったら、自分を見失ってしまった。

 個性が、消え失せてしまった。

 何が自分か分からなくなってしまった。

 苦しい。

 助けて。

 本当の私はどこ?


 


 

 

 

 

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