第325話 グランと7人の魔王 4

「これであと二人だな。そういえばグラン。ここに来てからけっこう日が経つけど大丈夫だよね?」


「もちろんじゃ。セリーヌ達には長くて1カ月程は帰れぬかもしれぬ。と伝えておるからのぉ。と言っても念話も届かぬから心配はしておるかもしれぬな。」


「だよな~。まあハピクイの所への連絡も無事に終わったから後は二人だし、転移魔法陣も完成してるわけだから、一度戻ってから再度来ても良いけど。」


「マスターよ。ここまで来たのじゃ。最後まで我はちゃんとしたいぞ。」


「わかってるよ冗談だ。それにしてもハピクイは大変だったな。」


「うむ。アヤツがあれ程はしゃぐ姿を見たのは初めてじゃ。元々人族好きとは知っておったがあれ程とはのぉ。あやうくマスターが取られる所じゃったわ。」


「いやいやそれはないから。たしかにボディータッチも多かったけど俺はそんなんで簡単に堕ちたりしないから。それに、後半は二人で盛り上がってたじゃないか?」


「うむ。アヤツがどうすれば人族と仲良くなれるのかしきりに聞いて来たのでな。我もアイツとはあまり話した事がなかったが、思いのほか楽しかったぞ。」


「そりゃよかった。転移魔法陣があるんだ。グランだって来たい時に来たらいいじゃないか?」


「そうじゃな。戦闘以外で他の魔王に会うなんぞ思っても見なかったが、話しをしに行くのもおもしろそうじゃ。マスター達と出会ってから我もこういった友達みたいな存在がうらやましかった所じゃ。」


(そりゃそうか。今までグランは魔王として生きてきたけど、部下や戦う相手はいたけど友達みたいな存在っていないもんな。強さが違うとなかなか対等に話せる相手もいなかっただろうし、セリーヌ達やエターレイン領の人達はまた違うだろうから、ここで気軽に話せる友達ができるのはグランにとっても良いかもしれないな。)


「良かったな。オーキンにラミクイ、スケキンはちょっと無理だろうけど、ハピクイなんかは良い話相手になりそうじゃないか?それにこれから行く二人の魔王だって。」


「そうじゃな。ラミクイやハピクイは同じ女として女子会を開いても良いかもしれぬな。オーキンとは飲み仲間としてじゃな。ドラキンはもしかすればオーキンと一緒に飲みに行けるかもしれぬな。ゴブキンは・・・無理じゃな。アイツはただのエロジジイじゃ。」


(そういやそんな事言ってたな。グランは近づいてきたら問答無用で撃退してたからあまり被害はなかったみたいだけど、エメラルドが行くのをかなり嫌がったもんな。)


ハピクイへの挨拶を終えた翌日、クリフ達はゴブキンの元へと向かっていた。もちろんクリフのお姫様抱っこでだ。


ゴブリン島に辿りつき、ゴブリン城へと降り立ったクリフ達、そこで問題が起きた。ゴブキンに会う為に中に入ろうとすると、門番に止められたのだ。


「どういう事じゃ?我が魔王と知っての行動じゃろうな?」


「もちろんですグラン様げへへ。ですが、ゴブキン様よりこの城に男性は入れるなと言われておりましてげへへ。グラン様とエメラルド様は通って大丈夫ですが、その者を中に入れる事はできませんげへへ。」


(男は入れない・・・どういう事だ?それにしゃべり方がもろゴブリンって感じだ。エロゲのまんまだ。という事は単純に女性以外を受け入れてないって事か。でもそんな事言ったら他の魔王とかはどうしてるんだ?会う事すらできないじゃん。)


「姉様。クリフ様にはここに残ってもらってアタシと姉様でサクッと終わらせるのはどうでしょう?」


「そうしたいのは山々なのじゃが、何かいやな予感がするのじゃ。」


(女性二人でエロゲの代表ともいわれるゴブリンの集団の元へ行かすのはちょっとヤバいな。門番の態度からもヤバさがプンプンする。グラン達、今までよく二人でこの城に入ってたな。まあならこの手は使いたくなかったけどしょうがないか。妻を守るのは旦那の仕事だからな。)


クリフは、決意を固めて魔法を使った。すると・・・


髪が伸びて、胸が出て顔が女性に変わったって言った。


「マスター!?」


「これはあんまり使いたくなかったんだけどね。まあグランの為にならしょうがないかな。それに城の中にいるだけだから。」


「門番よ。これなら問題あるまい。アタシ達は通っても構わないだろう?」


「女性なら問題ありませんげへへ。」


そうして、女性に変化したクリフ達はゴブキンの元へと向かった。


「待っていたぞグラン。そしてエメラルドよ。久しぶりだな。今日は俺様に抱かれに来たんだろう?さあベッドはすでに用意している。すぐに行こうぞ。」


「何バカな事言ってるんだ。我が一度でもお主の話を聞いた事があったか?今日は魔王の座をエメラルドに渡すからその報告にきただけじゃ。報告が終わればこんな気持ち悪い城などすぐに出ていくわ。」


「げへへそういう訳にはいかないんだわ。おいお前ら!」


ゴブキンの声と共に、入り口をゴブリン達が塞ぐ。


「どういうつもりだゴブキンよ?」


「いやな~。最近俺達ゴブリン族は数が少なくなってきてるんだ。このままじゃ俺様の島が廃れて行ってしまう。最近はラミクイもハピクイも俺様を警戒してるのか、島に近寄ろうともしねぇ。そこにグランお前だ。今のお前は前までと違って女が表面に出てきてる。そしてここには極上の女が3人もいる。これを見逃す手はないだろ?」


「お主・・・わかっているのか?それがどういう事か?」


「もちろんだぜ。俺様は前々からグランとエメラルドは手に入れたいと思っていたんだ。それにもう一人も極上だ。まとめて俺の女にしてやるぜ。」


「マスターよ。やはりこうなったな。」


「ああ、ハピクイが言ってた通りだな。」


ハピクイの所に行った時に、クリフ達はゴブキンの最近の行動が怪しいから気を付けてと言われていたのだった。そして、敵対行動に出た時は状況を見て、最悪魔王討伐もあり得るだろうと話し合っていた。


「我はもうコイツは殺しても良いと思うのじゃが?」


「ああ俺も同意見だ。後の事はエメラルドに任せて俺達は暴れるとしよう。俺もむかついて来た。」


「何をごちゃごちゃ言ってるんだ。お前達グラン達を捕まえろ。今日はパーティだ!!」


ゴブキンの号令と共に部屋にいるゴブリン達がクリフ達に襲いかかるのだった。


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